世田谷区の新型コロナ対策の著しい特徴は、保坂区長の異常なこだわりから、あらゆる場所で実施されている無症状者への検査にある。ひえしまは、22日の予算特別委員会(文教領域)で、小中学校での抗原定性検査キットばら撒きについて質した。

学校では修学旅行などの行事前に抗原検査を行い、無症状者の中から感染者を炙り出すことに執心してきたが、実に2万人以上実施して、たった1人見つかっただけということは、私の質問ですでに明らかになった。税金のムダというほかない。

さらに、学級閉鎖時にもそのクラスの子どもたちにキットを配布するのだが、「配られても使っていない」「捨てているので、配布しないほうがよい」といった保護者の声が私のもとに寄せられていた。

私はこの声を紹介し、検査キットの使用状況を調査しているのか質問したところ、「やっていない」というではないか。コロナの第6波が押し寄せ、医療現場から「キットが足りない!」と悲鳴が上がっているときに、世田谷区は駅頭でばら撒き、薬局でもばら撒き(途中で中止。現在は再開)、教育現場でもばら撒いて、区民から疑問の声が出ているのである。

さらに、学校でキットを配るときに「PCR検査よりも精度が低く、偽陰性が一定数でてしまうこともあるので、ご注意ください」と説明するので、なお「意味がない検査をするな!」と怒りの声が上がっている。

また、「検査してたって、学級閉鎖がどんどん出るのはどういうわけか」という問い合わせも来ている。今回の私の質問で明らかになったところでは、区内小学校全61校で延べ585クラス、中学校全29校のうち27校で延べ98クラスが学級閉鎖(3月18日現在)。小学校1校と中学校3校ではそれぞれ1学年ずつ学年閉鎖も行ったという。

保坂区長が指揮を執る感染症対策というものは、世田谷区の陽性者数が他自治体に比べて少ないとか、学級閉鎖が少ないなどということはさらさらなく、「世田谷モデル」に代表されるように、その場の思いつきで湯水のごとく税金を使っているに過ぎない。

最近ではPCR検査バスに1億円を投入し、「1日300人検査できる。ニーズはある」と豪語したものの、利用者は1日平均50人しかおらず、3月いっぱいまでと言っていたが、さらに前倒しで25日に終了となる(詳しくはコチラ)。

かくも無惨なり。長かった予算委員会もいよいよ24日千秋楽を迎え、採決が行われる。各会派の態度表明に注目である。

文・稗島 進/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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