近年、ロボットアームの操作技術は向上しており、リモートでさまざまな作業をこなせるようになっています。
しかし、そのためには高価で複雑な機器を用いたり、操作方法の訓練を受けたりする必要があります。
つまり、ロボットアームの操作は「専門家たちの分野」なのです。
アメリカ・カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)コンピュータサイエンス学部に所属するディーパック・パタク氏ら研究チームは、カメラ1台で人の手とロボットを同期させる新システムを開発しました。
これにより、シンプルで簡単な「一般向け」のロボットアーム操作技術が開拓されます。
研究の詳細は、2022年2月21日付のプレプリントサーバ『arXiv』に掲載されました。
ロボットアームの操作は一般向けではない
ロボットアーム自体は、特に珍しいものではありません。
すでに工場などで利用されていますし、もっと洗練されたロボット技術はたくさんあります。
しかし、これらを「操作する」ことは、まだまだ一般的でありません。
なぜならロボットアーム操作には、高度な技術と設備が必要だからです。
たとえば、従来のロボットアーム操作は、コントローラー機器で行われますが、これには技術が必要です。
また最近では、「人の手の動きをロボットアームに反映させる」という操作技術も登場しています。
しかし、これらを実現するには、専用のグローブやモーションキャプチャースーツ、調整された複数のカメラなどが必要となります。
複雑な機器や設定、技術の訓練が欠かせないため、どうしても専門家たちにしか動かせないのです。
こうした背景にあって、パタク氏ら研究チームは、「ロボットアームの操作技術を一般化したい」と考えました。
「特別な機器や設定、訓練がなくても直感的に動かせる」ロボットアーム操作システムを開発することにしたのです。