NASAは先日、イタリアのシチリア島で撮影された「逆さまの虹」の写真を公開しました。
これは2022年2月24日に、天体写真家で小学校教師でもあるマルチェラ・ジュリア・パーチェ氏が撮影したものです。
では、どうして虹は逆さまになったのでしょうか?
ここでは、逆さまの虹ができるメカニズムを解説します。
目次
逆さまの虹「環天頂アーク」が撮影される
虹と環天頂アークの違い
逆さまの虹「環天頂アーク」が撮影される
このほど、NASAがミシガン工科大学と運営するウェブサイト「Astronomy Picture of the Day (APOD)」に公開したのは、ヤシの木の上空にあらわれた「逆さまの虹」です。
この逆さまの虹の正式名称は「環天頂アーク(かんてんちょうアーク)」と言います。
通常の虹のように、七色の帯が空に出ていますが、弧の向きと色がU字型に反転しているのが特徴です。
またその形が、スマイルマークの口に似ていることから、多くの人から「微笑みの虹」とも呼ばれているのだとか。
確かに、この特殊な虹が見えたなら、その名前の通り微笑んでしまいそうですね。
では、この環天頂アークは、どのようにして発生するのでしょうか?
虹と環天頂アークの違いから解説します。
虹と環天頂アークの違い
私たちがよく知っている虹は、太陽光が大気中を浮遊する水滴に当たったときに生じます。
光が水滴の内部で屈折と反射を繰り返すことで、私たちの目に届くのです。
その際、太陽光はさまざまな波長の光に分散。
それぞれの波長によって屈折率が異なるので、水滴の位置によって見える色が異なります。
つまり、一般的には虹の上部に位置する水滴は赤色の光(波長)を、虹の下部に位置する水滴は紫色の光(波長)を私たちの目に届けているのです。
また通常の虹は、水滴が太陽光を「反射」して見えるものなので、太陽とは反対の方向にあらわれます。
一方、環天頂アークは、太陽光が空気中の水滴ではなく、「氷晶」に当たったときにあらわれます。
上空にできた六角形の平らな氷晶の中で、太陽光が屈折することで私たちの目に届いているのです。
この場合も波長による屈折率の違いにより、氷晶はその位置によって私たちの目に届ける波長を変えます。
そのため、氷晶によって届く光(環天頂アーク)も、虹色に分かれて見えます。
ただし環天頂アークの場合、氷晶の形状ゆえ、私たちの目に届くのは「反射」した光ではありません。
氷晶の内部をただ「屈折」しただけの光です。
そのため、環天頂アークがあらわれるのは太陽と同じ方向になります。
さて、こうしたいくつかの違いによって、環天頂アークは弧の向きと色が通常の虹とは逆になっているようです。
また環天頂アークは氷晶によって発生するため、通常は雲の中に隠れていることが多いようです。
しかし、いくつかの大気条件、観測者の位置条件がうまく重なり合えばきれいに見えます。
そこまで珍しいものでもないので、チャンスを待てば、いつかは観測できるでしょう。
参考文献
Astronomy Picture of the Day
Watch an Inverted Rainbow Hover Above a Palm Tree; How Does a Circumezenithal Arc Form?
提供元・ナゾロジー
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