またもトラブル
「今日はもう来ない?」
停留所の時刻表を見ると、どうやら終バスは終わってしまった様である。
「・・しゃあない、歩いて戻るか・・」
と、もと来た道を歩いて戻ることにしたのだが、それがいけなかった。
3月なので道路の雪はほぼ解けており、歩くのには不自由がなかったのだが、途中から雪が降りだした。
徐々に足場が悪くなってきて、なかなか歩みが進まない。
バスを降りたのは島のちょうど真ん中くらいで、島の半分を歩くことになったわけだが、想像以上の道のりだった。
いつの間にか日は落ちて、夜になってしまった。
「真っ暗じゃん!!」
道端に街灯がポツン、ポツンと点いているだけで、あたりは真っ暗。
「熊でも出てきたらひとたまりもないんじゃないか!?」
だんだんと不安が込み上げてきた。
「これは一刻も早く香深に戻るに限る」
とはいえ、周りには民家らしい民家もない。
まだ着かないのかな
「まだ着かないのかな」
3時間くらい歩いただろうか、精も根も尽きかけていたその時、前方に明かりが見えた。
「・・・やっと香深だ・・・」
と思ってホッとしたのも束の間、それはパチンコ店の灯りだった。
「でも、生き返った」
体がすっかり冷え切っていた。
そのため、暫くここで時間を潰すことにした。
「パチンコ屋さんには両替機があるんだよね」
今更感満載だが、両替機の存在が愛おしく感じられた。
一時間くらい遊んだだろうか、パチンコ店から香深に向けて再出発した。
その後、2時間くらい歩いて漸く香深に到着した。