衣食住、とりわけ「食」のグローバル企業への期待

数多のプロダクトの中でも、訴求力がもっとも高いのは衣食住のうち「食」です。撤退がワールドワイドで報じられたマクドナルドにしても、ロシア国内での利益の使い方や、ハンバーガーの包み紙を2色にするなど、過大なコストをかけずにメッセージを打ち出すことは出来るでしょう。

プロモーションに関していえば、かつて米国の大手「バーガーキング」が包み紙だけを七色にした「プラウドワッパー」を販売し、世界中の関心を集めました。同社はウラジオストクはじめロシア国内にも店舗を構えていますが、プラウド~に続く製品を世に問う気配は今のところないようです。ならば世界を股にかけるマックがバーガーキングのお株を奪っても、何ら問題はないでしょう。

このように書くと、ロシアに肩入れするのかというご批判もあるかも知れません。けれども各グローバル企業がロシアでの儲けをウクライナ支援に全力で注入する限りは、これ以上に有効な、かつ平和裏にロシア国民の感情を揺さぶる手立ては私には思い浮かばないのです。

国連やNATOが実効性のあるアプローチを見出せず、各国の政治リーダーもプーチンの翻意を引き出すことが出来ない。こういう時こそ、ロシア国民のひとりひとりに働きかけるグローバル企業こそがなし得る業であり、同時に求められるノブリス・オブリージュであると私は考えます。

とりわけ衣食住を主力とする企業にはここ一番、頑張っていただきたい。そのうえでロシア政府から営業停止や締め出しを食らうなら、その時こそ堂々とロシアから手を引けばよろしいでしょう。世界はその様子をしっかりと見ています。

ほんのわずかな「もの」の見方や考え方次第で、ロシア国民の感情を揺さぶることが出来るアプローチはあると思うのです。もしも読者諸兄でグローバル企業のトップに親しい方がいらしたら、ぜひ提案いただきたいと願います。

文・高橋 大輔/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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