企業における情報伝達、ノウハウ継承
前述した情報論理分析力は、これからの社会において必要不可欠であり、企業人としても是非、普段から心がけてもらいたいと思っている。
その上で、そうは言っても資料の1次情報に毎回当たっていては業務効率が悪すぎるのも事実だろう。
そのために必要となるのが必要な情報の構造化ブレークダウンだろう。
前述の例で考えて見よう。過去実績の担当による資料が分かり難いのは何故かを考察するのだ。情報が不足していたのか、必要のない情報が満載で必要な情報が検出し難いのか、情報に誤りがあったのか等。
この考察の結果、情報不足であれば、どの様な情報があれば良いのか、具体的に項目出しをしなければならない。当然それは、継続的にフィードバックがかかるようなプロセスで、不足情報の項目出しを加えていく仕組みが必要になる。何故なら一度の考察や検討で、必要な情報の全てを網羅するのは不可能だからだ。やりながら、レベルアップしていくのだ。そして必要項目記載をルールとし、ミスロス削減の為にもテンプレート化しておくべきだろう。
不要な情報が満載でと言うのなら、少し考える必要がある。何故取捨選択が出来ないのか。
情報が整理されておらず判然としないのなら、定型の情報は固定表記される様にテンプレート化して整理すれば良いだけだ。むしろ情報が満載なのは良い事で、受け手側とは一人ではなく多面的なので、それに対応するのは情報自体が最小公倍数を実現する必要がある。
必要な情報が整理され表記されていて、尚且つ分かり難いと言う事例を多く確認する事がある。つまりこの現象の原因は、受け手側の情報読解能力の問題なのだ。
その次の情報に誤りがある場合も難解だ。基本的には資料として記録を残す際にミスロスを防ぐ策が大前提である。前述の項目整理やテンプレート化は有効な策となろう。それでも人間のする事に完全はなく、一定のミスは発生する。
これは本質的には一定のリスクを受容する必要はあるが、最小化する為に資料作成時の対策は不可欠だが、加えて受け手側が利用する際に一定程度の感性を持って見抜ける能力の養成が必要不可欠なのだ。
ひとつの方法は、時々抜き取りでも、1次情報に戻る作業で能力を高める。普段から周辺で起きている時事問題、経済界の課題などに関心を持ち、書籍やネット情報を確認し、時々その背景にある1次情報、政府発信のオープンデータや論文も確認し、自身の思考を磨く作業を行っておく事が重要だろう。
文・多田 芳昭/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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