日本社会の生産性の低さをもたらしている要因の1つは、印鑑、電話、ファックスといった「昭和なビジネス慣習」が未だに残っていることだと思っています。

リスクを恐れてメール送信しない不思議な金融機関
(画像=Sadeugra/iStock、『アゴラ 言論プラットフォーム』より 引用)

ファックスでしか受付をしないクレジットカード会社の不思議な対応をこちらのブログに書きましたが、書類への必要の無い押印の依頼も、未だに続いています。

例えば、取引先に請求書を送る場合です。印鑑不要でメールで請求書を添付して送れば良いという会社は稀で、多くの会社は未だに押印された請求書の原本を郵送するか、押印した請求書をPDFにしてメール添付でしか対応してくれません。印鑑と言っても、実印である必要はなく、いわゆる認印として使われているだけです。

銀行の届出印や、印鑑証明を添付した上での実印の押印が必要な場合は、効率性の問題はあるにせよ、印鑑の存在価値はまだ残っています。しかし、それ以外の場合は印鑑は無くても問題はありません。単に慣習として残っているだけです。

また、金融機関によっては、メールでのやり取りができないという対応をしているところもありました。メールの誤送信によって顧客データが流出したり、社員による情報漏洩事故が起きることを恐れているのだと思いますが、メールで連絡をお願いしても毎回電話をかけてくるのには閉口します。

メールにはリスクがあるのは理解できます。しかし、だからと言って銀行側からの送信を制限して、別の方法でコンタクトするというのは、何か間違えているように思います。

以前取引のあった別の金融機関では、担当者がLINEを使って連絡してきていました。メールだと社内のコンプライアンスが厳しいからという理由ですが、これまた本末転倒の対応です。

今月は不動産取引の決済が2件あり、その準備を金融機関を進めていますが、対応に何だかちょっと疲れました。さらに決済日当日も大量の押印作業があるかと思うと、今から少し憂鬱な気分です。

編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年9月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

文・内藤 忍/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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