アニメ化、ゲーム化は「作品の株式上場」

筆者はこの流れが続くと、新規作品の原作者側にとってアニメ化、ゲーム化が起きにくくなるのではと感じる。ここからは門外漢の素人の考察で恐縮なのだが、下記の通りその根拠を述べたい。

人気アニメ番組の原作は、ライトノベルのヒットが元となっているケースは珍しくない。「ライトノベルがヒット→アニメ化・ゲーム化」という流れになっているわけだ。そしてアニメ化、ゲーム化することで、コア層でない多数のライト層の目にも触れることにつながる。つまり、作品にとってアニメ化やゲーム化は「株式上場するようなもの」と評することができないだろうか。魅力的な作品が大衆の目に触れる「ゲーム化」「アニメ化」が起きなければ、新しい作品が多くの人の目に触れにくくなるのではと考えている。

「涼宮ハルヒの憂鬱」のヒットが好例かもしれない。この作品はライトノベルで出た後にアニメ化されて大ヒットした。特に話題になったのは、主要キャラクターたちによるエンディングのダンスだ。当時、ニコニコ動画が流行っていたのもあって、このダンスを踊る動画が多数アップされた。秋葉原の歩行者天国で、大勢のコスプレイヤーたちによるフラッシュモブも撮影され、社会現象化した。作品の内容自体も間違いなく魅力的だった。そこは否定しない。だが、涼宮ハルヒの憂鬱ほどの作品とて、もしもアニメ化されていなければ、あれほどの社会現象的ヒットになったかは分からない。

少子高齢化は、意外な部分にも影響を与えている。優れたリメイク作品ならドンドン出してほしいと考える。だが、尖った目新しい作品の登場がしづらくなったビジネス環境の変化に、懸念を覚えてしまうのだ。

文・黒坂 岳央

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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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