人生を破滅に導く「稼げる系」「投資系」ビジネスマン
筆者が実際に自分の目で見たことがあるのは、「これで稼げます」とか「今なら利回り300%!」といった吹き込みをする人たちだ。もちろん、丁寧に想定リスクや手順を説明して、最大限配慮をする実直な人がほとんどだ。間違っても「稼げる系、投資系のすべてが詐欺」などと、主語の大きい事を言うつもりはない。ほとんどの実業家は誠実で人を幸福にする活動に励んでいると信じている。だが、一部においてあまりにも「売らんかな」が先行してしまい、買い煽りが過ぎた結果として相手の人生を破滅に導くケースも有る。
筆者が知っている人物は、「今買えば億万長者に!」という触れ込みで、高額セミナーへ入会させた上でたくさんの金融銘柄を買い煽ったものだった。結果として、複数人の人生破綻者を作り出した。中には年金ぐらしで虎の子の数百万円、数千万円の貯金を使い果たした者もいた。最終的に集団訴訟を募る事態となったが、買い煽りをした人物は「自己責任」の一言でこの悲劇の幕引きをした。
法的にこの人物がやったことは、犯罪に抵触しないかもしれない。だが、実態としては何人もの人生を破滅に追い込んでいるという事実が恐ろしい。被害者が生活苦で亡くなったら、間接的な殺人者になるというのに本人にそのような自覚は、まったくない。
ビジネスマンは、お客さんの人生を間接的に預かる責任がある。大げさなようだが、仕事をするということには他人の人生に影響を与える責任が伴う。それを忘れてしまったときから、無自覚に間接的な犯罪者への入り口に足を踏み入れることになってしまう。
◇
間接的犯罪に手を染める人の問題点は、想像力の欠如だ。「自分の言動が、相手にどのような影響を及ぼすか?」ということを想像できていれば踏みとどまることも、それができないので踏み越えてしまう。「想像力を持ちなさい」と言われて、すぐ持てるわけではない。ソリューションとしては啓蒙活動、つまりは知識による防止だろう。すなわち、様々な事例を知識として入れることで、「自分がやろうとしている行為は、過去の事例に抵触する」という認識で思いとどまらせるのだ。職場におけるハラスメントも問題行動を言語化した啓蒙活動によって、効果が出ていると信じたい。
世の中から、間接的犯罪が少しでも減ればと切に願う。
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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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