ASMR(自律感覚絶頂反応)とは、ささやき声や耳かきの音など聴覚への刺激で脳にゾワゾワした快感を生み出す最近ネットで人気のコンテンツです。

英国エセックス大学(UE)で行われた研究によれば、このASMRを楽しむ人々は、自らの感度を高めている可能性がある、とのこと。

また恋愛など親密な対人関係のシミュレートとASMRを組み合わせると最も効果が大きくなり、単なる刺激を越えて、社会的なつながり感も得られると判明します。

ASMRと甘い囁き(恋愛シチュエーション)の組み合わせは、やはり鉄板なのかもしれません。

研究内容の詳細は2022年4月付で『Journal of Research in Personality』にて掲載されています。

目次
ASMRは脳の感度を高める
ASMRと「甘い囁き」を組み合わせる

ASMRは脳の感度を高める

ゾワゾワ感覚「ASMR」は”恋愛シチュのささやき”が脳科学的にも最強だった
(画像=ASMRは脳の感度を高める / Credit:Canva . ナゾロジー編集部、『ナゾロジー』より引用)

ASMR「自律感覚絶頂反応」は現在、ネット上で最も人気が高いコンテンツの1つとなっています。

ASMRは、耳元で鳴る物音やささやき声によってゾワゾワ感を誘発します。

この感覚は、人によってはまるで絶頂したときに近い、チリチリとした脳の痺れを伴うため、少なくない人々がリピーターとなって、自らの聴覚に対して繰り返しの刺激を求めるようになるのです。

ただ、これは「試したことあるけど何も感じなかった」という人も多いかもしれません。

自己調教のようにASMRにハマっていく人と、そうでない人には、実際どのような感覚の違いがあるのでしょうか?

そこで今回、エセックス大学の研究者たちは複数の研究結果を統合・分析することで、ASMRと人間の感覚の関係を探ることにしました。

結果、ASMRの愛好家たちはそうでない人々に比べて、外部刺激に対して遥かに高い感覚感度を持つことが判明します。

またASMR愛好家たちは身体認識能力も高く、内部感覚に対しても敏感であることが示されました。

(※たとえばASMR愛好家たちは自らが快感を感じているとき、自分の体がどうなっているかを認識する能力が高くなっています)

また研究者たちが開発した感度測定テストを使用すると、ASMRの愛好家たちの56%が「高感度」に分類される一方で、ASMRと無関係に生活している通常の人々の場合「高感度」に分類されるのは30%ほどであることが示されています。

この結果からも、ASMR愛好家が普通の人々に比べて高い感度を持つ(敏感である)ことがわかります。

次のページでは、ASMRを親密な対人関係のシミュレーションに組み込んだ効果が検証されます。

ASMRと「甘い囁き」を組み合わせる

ゾワゾワ感覚「ASMR」は”恋愛シチュのささやき”が脳科学的にも最強だった
(画像=ASMRと「甘い囁き」を組み合わせる / Credit:Canva . ナゾロジー編集部、『ナゾロジー』より引用)

現在のASMR作品には、さまざまな音にわけられたジャンルが存在します。

このさまざまな音とは、マイクを優しく擦るような音、川のせせらぎや雨音のような環境音、人のささやき声などです。

そこで研究者たちがこれらジャンルごとの効果を調べたところ、最も強力な反応を引き出すのが、人間の「囁き声」を使ったASMRだと判明したのです。

特にささやき声が「親密な対人関係(恋愛など)」をシミュレートする内容である場合、利用者は単なる感覚刺激を越えた、社会的なつながりの感覚を高められることが示されました。

この結果は、ASMRが社会性のような複雑な能力に影響を与えられる可能性を示唆します。

もしASMRを的確に使用することができれば、対人関係によるストレスを解消したり社会生活のリハビリに使えるかもしれません。

しかしASMRへの積極的な関与は、利点ばかりではありませんでした。