国民の皆さんは、これで良いのだろうか?

文通費の件だ。

過去3回の記事で、私は政治の透明性と民主主義の納得感について考え、その文脈で文通費の使途公開の大切さを訴え、文通費協議会の議論の経過について、政党もメディアも一切語ろうとしない日本の在り様を嘆いた。

繰り返すが、これは「毎月100万円、税金アジャース」という政治家に腹が立つ、という問題ではないのだ。文通費の使途公開ができるかどうかは、日本の「民主主義の深化」に直結する問題なのだ。

驚いたことに、文通費協議会の次なる議題設定は、なんと「呼称変更」だという。

文通費、呼称変更を検討 与野党協議会

議論を先延ばしにし、「本当はやりたくない改革」から逃げ回って、6月の会期終了で「残念でしたね。また今度」を狙っているのだろう。そこで、国民の関心が薄くなったら、なんとなくうやむやにしちゃえ!というところか。

そうではない、というなら、その根拠を示すべきだ。

きっと、「根拠法が」とか「実情にそぐわない」など、もっともらしい理由をあげて「だから名前から決めないと」と言うのだろうが、この問題の核心はどこか、という議題設定から明らかに逃げている。

自民党や公明党など、「最初からやる気なし」政党はそもそも言語道断だが、「やる気満々」風情だった維新も、この協議会の議論の経過をしっかり説明するべきだ。

音喜多さん、どうなってるんですかこれは!

政治家が政治家なら、メディアもメディアだ

この状況の責任は、一義的にはすべての国政政党にあるが、昨今メディアがこの問題を一切報道しなくなったことも大いに問題だし、不可解だ。

圧力でもかかっているのか?

2週間に一回のペースで、文通費協議会は開催されているというのに、どのメディアも取材をしている形跡がない。

挙句、3月8日に「文通費の日割り支給に一定の方向性」と、申し訳程度に報道しておいて、その件について後追い取材をしているメディアは、知る限り皆無だ。

新聞社では、唯一朝日新聞が

文通費は趣旨と法律の目的にズレ?与野党協議で名称変更求める意見(後半有料記事)

と報じているが、その他の新聞で、3月8日の協議会について詳報しているものは見つけられなかった。

ともかく、協議会に参加しているすべての国政政党は、協議会での議論の経過と今後の見通しについて、党としての見解を表明する責任がある。

また、メディアもこの問題をしっかり取材し報道するべきだ。

この問題に政党としてどう向き合っているかは、目先に控えている参議院議員選挙に間違いなく影響する。

全員仲良く黙して語らず、は許されない。

文・高橋 富人/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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