勉強する対象を見つける方法

多くの人は「勉強」と聞くと、資格取得や英語学習、プログラミングスキルといった領域を学ぶことを連想しがちだ。筆者は英語学習を指導する立場を取っており、間違いではない。しかし、重要なことは「学んでスキルを身に着けた”後”」である。「時間とお金をかけて学んでも、自分に返ってこないなら自己投資の意義がない」と感じられるだろう。

筆者からは「自分の市場価値を高めてくれる領域を学ぶ」という提案をしたい。これまでのキャリアや自分の能力を鑑みた上での現実的な選択だ。あなたの市場価値を高める領域は、あなたにしか分からない。会計の専門家であれば、より会計分野のスキルアップをする、法律なら法律の勉強をといった具合だ。もしかしたら、今の専門性に英語力、というスキルを加えることも検討できるかもしれない。だが、一部の人は今取り組んでいる領域にどうしても興味関心が持てないという人もいるはずだ。その場合は「上を目指す」のではなく「横の移動」を検討してもよいだろう。

筆者の知っている人は宇宙物理の研究者がいたが、能力の適性を再考した結果、学びを経て企業経営者へと転身した。これは「宇宙物理→ビジネスの経営者」という横への移動だ。専門外のことをやるには、知識が必要となる。そのタイミングこそ、勉強の必要性が生まれるだろう。

筆者も勉強をしてキャリアを「横」に移動した

筆者も人生の方向性が分からず随分と苦しんだ時期があった。長い間コールセンター派遣をしていたが、勉強の必要性を痛感して米国の大学で会計学を専攻した。勉強をして知識をつけたことで、外資系企業で会計の専門職についた。働きながら土日にビジネススクールに通って、IFRS(国際財務報告基準)の領域を学んでいた時期もあった。だが、結果的に筆者に会計領域への適性がないと理解し、起業した。

フルーツギフトのビジネスで起業をしたので、果物や贈り物、ECサイトの構築やマーケティングなどをゼロから学んだ。その他、文章を書き方を学び、ビジネスジャーナリストの仕事や講演、書籍の出版へとたどり着いた。「やりたい領域を見つける→その領域の勉強をする→仕事をしながら改善を繰り返す」ということを繰り返して今がある。直近では国立研究開発法人から、ビジネス講演への登壇依頼を頂いた。だが、今のままでは知識が不足している点があるため、有意義な講演にするために必死に勉強をしているところである。

最初にやるべきことは「勉強して知識を付けたい領域」を見つけることだ。闇雲に「とにかく勉強せねば!」と焦って勉強そのものが目的化してはいけない。まずは勉強する価値の感じられる対象を発見することが肝要であり、それにはリサーチという勉強が必要となるのだ。

コロナ禍で勉強をしない日本人が増えた。だがこれは勉強をする者にとっては有利な状況でもある。今こそ、社会人は勉強をする時が来ているのだ。

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(画像=『アゴラ 言論プラットフォーム』より引用)
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文・黒坂 岳央/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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