Astraが2022年2月のロケット打ち上げ失敗原因を特定

米国の小型ロケットベンチャー企業Astra(Nasdaq: ASTR)が、2月10日にケープカナベラル空軍基地にて実施した Rocket 3.3(LV0008)の打ち上げについて、失敗の二つの原因を特定したと発表しました。

1つは、ロケット上段の衛星フェアリングの分離機構が正常に作動しなかったことです。フェアリングには5つの分離機構があり、それらが誤った順序で作動したため、5つ目の分離機構が開くコマンドが通らず、ロケット上段点火前にフェアリングを完全に分離することができませんでした。

この問題の根本的な原因は、フェアリングの電気ハーネスの設計図の誤りに起因するとのことです。打ち上げ前の試験で電気ハーネスの配線設計自体は確認せず、フェアリングの電気ハーネスが設計図通りに配線されていることを確認しただけであったため、打ち上げ前に問題を発見できなかったようです。

2つ目の原因は、ロケット上段エンジンの推力ベクトル制御システムにソフトウェアの問題が発生したことによるものです。これにより、ロケット上段分離後に機体の姿勢が崩れ、軌道投入に失敗しました。飛行制御ソフトウェアが一連の信号が一度欠落した状態(パケットロス)になると、その後信号が繋がってもロケット上段の姿勢を制御することができなくなっていたようです。

今回のFAA(連邦航空局)と共同で実施している原因究明を通じて、Astraはフェアリングの設計図面の変更及び、飛行制御ソフトウェアのアップデートなどを完了しています。

Astraは、Rocket 3.3(LV0009)の打ち上げを目前に控えています。前回の打ち上げ失敗の原因をしっかり修正し、次の打ち上げ成功に期待です。

提供元・宙畑

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