「楽天カード」、新規アプリを導入
楽天IDで店舗とネットを紐づける
この度発表された西友のネットスーパー戦略、並びにOMO戦略は以下の通りだ。
主な内容は、楽天の“エコシステム”を活用し、オンラインとオフラインのデータを統合してデジタルマーケティングを展開。ネットスーパーの利用者を拡大するとともに、リアル店舗における客層拡大を進めるというものである。

まず西友は4月1日より、食品スーパーでは初の取り組みとなる「楽天カード」である、クレジットカード機能付きのオリジナルデザインカード「楽天カード 西友デザイン」を発行。また同月5日には、付帯するプリペイド式電子マネー「楽天Edy」も西友全店で利用可能にする。
さらに4月26日には、現在の「楽天西友ネットスーパー」アプリに、店舗でも使える機能を追加して「楽天西友アプリ」としてリリースし、ネットスーパーでもリアル店舗でも利用できるアプリに進化させる。

これら施策により、従来西友はハウスカードを導入していなかったため顧客ごとの購買履歴を取得・分析することはできてなかったが、これが可能になる。楽天のIDによって店舗とネットスーパーのデータも紐づくため、一人ひとりの店舗・ネット双方の利用動向に沿ったマーケティング施策が可能になるというわけだ。
このOMO戦略を軌道に乗せるために西友・大久保社長は「アプリのダウンロード数を増やすことが重要」と語り、その数を22年中に120万超、25年までに500万超に伸ばしたい考えだ。そして「楽天カード 西友デザイン」の利用者数については、22年中に500万人、25年までに700万人の達成をめざす。
リアル店舗の
客層を拡大する
大久保社長が説明する、西友が楽天との協力関係を強化する理由は大きく3つだ。
①楽天経済圏は会員数が多く、IDでつながっている。その経済圏にリアル店舗とネットスーパーを展開する西友が入ることで、より大きな経済圏ができる。
②楽天経済圏の客層と西友の既存客層が違うため、客層の広がりが見込める
③楽天は膨大なデータと、ビッグデータを分析して消費行動を理解するAIツール「Rakuten AIris(楽天アイリス)」を持っており、デジタルマーケティングを強化したいと考えている西友にとってメリットが大きい。

とくに客層の拡大について言えば、西友でもリアル店舗の客層の高齢化は深刻な課題となっている。20〜50代女性の顧客比率は、西友店舗ではわずか34%だが、楽天西友ネットスーパーでは73%を占める。このことから大久保社長は「今のリアル店舗の客層をネットスーパーとデジタルマーケティングで拡大していけば、企業を発展させられる」と説明する。
21年3月に大久保氏をトップに据え、新たなスタートを切って以降、着実に成長を遂げている西友。楽天との新たなOMO施策により、デジタルマーケティング領域についても弾みをつけることができるのか、業界中が注目している。
提供元・DCSオンライン
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