モビリティ業界における革新は「自動運転車」だけではない。現在期待感が高まっているのは「空飛ぶクルマ」の実用化だ。2025年に開催される大阪・関西万博では、空飛ぶクルマを使ったエアタクシーの運航を目指している。日本にとって、2025年は「空飛ぶクルマ元年」になりそうだ。

大阪・関西万博で「エアタクシー」が実現!?

空飛ぶクルマを開発する企業は、世界的に増えている。海外勢では、トヨタも出資している米Joby Aviationや中国のEHangなどが有名だ。

日本も負けていない。有志団体からスタートしたSkyDriveの他、テトラ・アビエーションといったスタートアップが機体の開発を進め、すでに実証実験の実績も豊富にある。

大阪府は2025年に開催される「大阪・関西万博」において、エアタクシーの運航を目指している。また大阪府と大阪市がSkyDriveと連携協定を締結 するなど、空飛ぶクルマの実用化が現実味を帯びている。

大手企業も開発に参入

空飛ぶクルマやエアタクシーに関しては、以前はスタートアップ界隈を中心に開発されていたが、ここ数年は大手企業も相次いで開発に乗り出している。

日本のANA(全日本空輸)もその1社で、2022年2月に前述の米Joby Aviationとの業務提携を発表 し、関西国際空港と大阪駅を結ぶルートなどを模索していくという。当然、大阪・関西万博におけるエアタクシーの提供も視野に入れているだろう。

気になるのは安全性だ。単独飛行で墜落する可能性は低いとしても、複数のエアタクシーが空を行き交うようになれば、接触や衝突のリスクはゼロではないだろう。

安全飛行に向けた「インフラ」開発も進む

このような課題に目をつけ、すでにビジネスを展開している日本のベンチャー企業がある。エアモビリティ社だ 。

同社は空飛ぶクルマの「インフラ構築」に力を入れており、他の機体の飛行情報などを加味したナビ機能などを開発している。いわば「空の道」を案内するナビゲーションシステムだ。

機体開発だけではなく、空飛ぶクルマのインフラ開発も進む日本。冒頭で述べたように、このまま順調にいけば、2025年は日本にとって「空飛ぶクルマ元年」となる可能性が高い。

引き続き万博に向けた大阪府の動きや、各社の機体やインフラシステムの開発動向に注目したい。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト)
国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。金融専門メディアへの寄稿やニュースメディアのコンサルティングも手掛ける。

【関連記事】
富裕層のガレージにフェラーリやランボルギーニがある理由
ロレックス以外に「オシャレ」「投資対効果」を満たす腕時計はない
シュプリームが支持され続けるワケ 6万円のTシャツがオークションで16万円に?
「なぜ富裕層は「英国靴」を愛用?庶民は知らない「エドワードグリーン」と「ジョンロブ」
「山崎50年」が約3,000万円に!日本産ウイスキーの価格はなぜ高騰している?