電話接客やSNSの活用 販売現場は変化しても、最重要は店頭接客

 リモートワークが定着したことで、人びとの生活や消費スタイルは大きく変わった。販売のプロフェッショナルはコロナ禍による変化をどう感じているのだろうか。阿部氏は「有楽町店の場合、以前は銀座界隈で働く方々が仕事帰りに寄られていたが、出勤回数が減り、洋服を購入する機会も減ったという方が多い」と話す。

 こうした変化によって、最近増えているのが電話での接客・販売だ。「ECではわかりにくいサイズ感や素材感を知りたいと、お問い合わせがある」(阿部氏)

 こうした電話には従来の顧客だけでなく、新規客もいるのだという。「お客さまの身長や体型、好みなどを聞きながら電話接客している」(同)

 ブランドの公式SNSを活用して、コーディネート例を見せることも増えた。

 このように、接客スタイルや販売ルートは多様化しているが、ベイクルーズが一貫して最重要視しているのは店舗接客だ。「ベイクルーズは店舗こそがブランドの表現の場だと考えている」と菅氏は語る。

 「アパレルはECシフトだとよく言われるが、売上の半分以上がECになった私たちの考えは真逆。ECで購入してもらうには、店舗で接客を受けてお客さまにブランドの世界観に触れていただくというステップが欠かせないからだ」(菅氏)。実際に、ベイクルーズのEC売上は店舗があるエリアで多く、店舗のないエリアでは少ない傾向があるという。

 現場の最前線で活躍する阿部氏に、接客において大事にしていることを聞いた。「まずは、自分自身がヘアメイクを含めて毎日のスタイリングにこだわること。自分のマインドもよくなるし、自分がお客さまなら、おしゃれで輝いている人に接客をされたいと思うから」。

 阿部氏はスタイリング提案にも力を入れている。「この色や形は似合わないからと決めつけてしまっているお客さまは意外に多い。私自身、思いもよらなかったスタイリングを先輩に提案され、ファッションの幅が広がった経験がある。お客さまにもファッションの楽しさを実感してほしいので、ニーズ以外でも必ず似合うと思ったアイテムを理由を添えてご紹介している」。

 こうした接客にプライドをもって働く販売のプロフェッショナルがいるからこそ、ベイクルーズの快進撃があるといえるだろう。

提供元・DCSオンライン

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