2020年3月以降のコロナ禍による需要増加の裏年にあたる21年は前年割れとなった輸入スティルワイン市場。そのなかでも製造国別の金額シェアでは依然としてチリワインが最もシェアが高くなっており、市場拡大に重要な製造国といえそうだ。
ユーザーからの支持が高いチリのシェアは41.7%でトップ

コロナ禍の家飲み需要の高まりにより、2020年は家庭用の輸入スティルワインは大きく伸長したが、その裏年にあたる21年は3月以降、前年割れが続いている。各国ともに厳しい結果となった。
量販市場の輸入スティルワイン(非発泡性ワイン)の原産国別販売金額において21年のチリワインのシェアは41.7%で前年を0.7%下回ったが、依然としてシェアはトップをキープした。2位のフランスのシェアは20%で前年の0.6%増、3位のスペインのシェアは12.1%で前年の1%増となった。19年に欧州EPAが発効され、欧州産ワインが値下げされたことで欧州産ワインの需要増につながり、19年以降は微増が続いている。チリワインは前年よりもシェアを落としているとはいえ、コストパフォーマンスの高さや品種の多さなどを理由にユーザーから支持されており、依然としてチリワインが重要な製造国であることは間違いない。
チリワインの平均単価が上昇、中高価格帯が好調
チリワインといえば500円前後の低価格帯が主力となるが、21年は平均単価が大きく上昇している。チリワインのスティルフルボトルの平均単価は、19年が568円だったのに対し、20年は570円、21年は576円にまで上昇。コロナ禍の家飲み需要が増加したことで、日常のちょっとした贅沢が味わえるプレミアムワインのニーズが高まっていることが予想される。
1000~1499円カテゴリーにおいて高いシェアを誇るのが「カッシェロ・デル・ディアブロ」。高品質な味わいは世界中でもトップレベルの評価を獲得しており、日本でもトライアル率、リピート率ともに高くなっている。22年は「盗み飲みされるほど美味しいプレミアムワイン」というキャッチコピーでブランドの価値を訴求する。また、「ディアブロ」を楽しむ「ディアブロ・クラブ」の開設や、SNSを活用した「悪魔捕獲大作戦」などのプロモーションの実施で、さらにファンを広げていく。
一方、ボリュームのある低価格帯のチリワインでは、「フロンテラ」ブランドが支持されている。リーズナブルな価格でありながら、単一品種でつくられており、品種による味わいが楽しめるのが魅力だ。昨年秋に日本オリジナルデザインにリニューアルし、店頭での視認性をさらに高めた。スタンダードに加え、厳選されたブドウと収穫方法にこだわった、上質な味わいのプレミアムシリーズも展開している。
「フロンテラ」は、グラミー賞オフィシャルワインパートナーに選定されたことを受け、23年グラミー賞授賞式のチケットが当たるキャンペーンなどを実施する。
コロナ感染が終息し、外食機会が増えても家飲みのよさを実感した人は継続することが予想されるため、店頭ではチリワインの魅力を訴求し、輸入スティルワイン全体の活性化を図っていきたいところだ。
提供元・DCSオンライン
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