血の時間を制御して「老化を治療」する

若マウスと老マウスの体を縫い合わせた結果「老マウスの細胞」が若返った!
(画像=時間成分を自由に制御できれば誰でも若返えれる / Credit:Canva . ナゾロジー編集部、『ナゾロジー』より引用)

今回の研究により、血液に細胞の若さを記録・制御する力があることが判明しました。

若いマウスの血に触れると老マウスの細胞では遺伝子活性が変化して、若い頃と同じようなパターンをとりはじめます。

一方で、老マウスの血に触れた若いマウスの細胞では遺伝子活性が変化して、老いた状態に移行してしまいました。

またこの変化は肝臓細胞や免疫細胞、造血幹細胞などで起こりやすく、影響を受けた細胞では遺伝子活性と細胞の発電所であるミトコンドリアでのエネルギー生産能力が変化し、触れた血に応じた時間レベル(若さ)に近づいていきました。

若いマウスと老マウスの体を縫い合わせる試みは過去にも行われてきましたが、各臓器の細胞に起きた遺伝子活性の変化がここまで詳細に調べられたのは、今回の研究がはじめてです。

研究者たちは、これら時間を反映する血液成分を特定・制御することができれば、史上初めてとなる「老化の治療」ができると述べています。

そうなれば死ぬ瞬間まで子孫を残せる他の種と同じように、人類も永い青春を謳歌できるようになるかもしれません。


元論文

Molecular hallmarks of heterochronic parabiosis at single-cell resolution


提供元・ナゾロジー

【関連記事】
ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功