圧倒的に軽くなったフットワーク
そんなネガティブな先入観を抱きつつもエンジンに火を入れ、公道に出たところでアクセルを踏み込むと、筆者の意地の悪い予想は一瞬にして消し飛ぶことになった。
300psもあれば当然かもしれないが、3リッターV6スーパーチャージャー版と比べても遜色のないトルクの盛り上がりで、みるみるスピードを上げてゆく。当世のダウンサイジング・ターボにしてはレスポンスも良好で、8速ATのパドル操作で気持ちよく走らせることができる。
この速さに歓喜したのちに冷静さを取り戻すと、今度は4気筒ということで抱いていたエンジンサウンドへの疑念が、まったくの杞憂であることも判明する。もちろん直6やV6、あるいはV8とはまったく異なるのだが、さりとて一般的な直列4気筒とも異なるちょっと不思議な排気音。でも、ジャガーのリアルスポーツカーに相応しい快音であることも間違いないのだ。
しかし、2リッター4気筒版F-TYPEの真骨頂は、やはり圧倒的に軽くなったフットワークにあると言わねばなるまい。同じ「クーペR-ダイナミック」グレードで比較しても、3リッターV6版より60kgも軽い。しかもその軽量化された分の大方はフロントアクスル側に集中しているのだから当然かもしれないが、ハンドリングのシャープな切れ味はV6/V8版のF-TYPEを凌ぐもの。
ヒラリヒラリとカーブを駆け抜ける快感は、例えばマーケットではライバルと目されるミッドシップ車、ポルシェ・ケイマン/ボクスターと比べても大差は無いと断じてしまっても良いレベルにある。
しかもその一方で、もはや一部のジャガー愛好家を除いては死語にも等しい「ネコ脚」という単語を思い出させるしなやかな乗り心地も両立していることから、より気楽にデイリーユーズに供することもできるだろう。
昨今のダウンサイジング時代の産物として生まれたはずの2リッター4気筒モデルが、実は最もピュアなスポーツカーとなっていたことは、驚きに値する。そして上質な軽妙さを見せるドライブフィールは、かのE-TYPEの精神的後継車としての在り方までも最も明確に示しているかに思われたのである。
ジャガー F-TYPE
文・武田公実/提供元・CarMe
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