withコロナ、アフターコロナを見据え、アプリ開発の副業を考えている方が増えてきています。最近では、本屋に行ってもアプリ開発についての書籍も充実してきており、経験の乏しい方でも勉強さえすれば自作アプリを開発することは、以前と比べると容易にできるようになりました。ですが、そのアプリをマネタイズできるかどうかは別問題です。

自作アプリでマネタイズするのが難しいならば、受託案件で副業収入を得ていくのも選択肢のひとつです。今回はこのアプリ開発の副業事情について解説していきます。

目次

  1. アプリ開発のおもな種類
  2. アプリ開発の収入源
  3. 個人でアプリ開発は難しい?
  4. 副業でアプリ受託開発を行う場合の単価目安
  5. アプリ開発案件獲得のためにおさえておきたい言語
  6. 副業で受託案件を獲得する方法
  7. おわりに

アプリ開発のおもな種類

まずはアプリ開発のおもな種類について確認しましょう。おもに2種類のアプリ開発があります。

Webアプリ開発

ひとつはWebアプリ開発。ChromeやEdgeなどに代表されるブラウザ上で使用できるアプリの開発です。フロントエンドではHTML、CSS、JavaScriptを使用し、バックエンドではPHPやJavaなどを使って開発することが多くなります。

副業でWebアプリを開発するとなると、WordPressのカスタマイズやホームページの作成といった個人のクライアント向けの案件が多くなってくるでしょう。

スマホアプリ開発

もうひとつはスマホアプリ開発。ひとり1台スマホを持っている時代になり、AndroidアプリやiOSアプリ開発の副業案件は年々増加傾向です。

開発言語はAndroidアプリがKotlin、iOSアプリはSwiftが今の主流となっています。インストールが必要なアプリなので、ネイティブアプリ開発とも言われています。

アプリ開発の収入源

次に、有料アプリ配信・広告収入・受託開発といったアプリ開発のおもな収入源について確認しましょう。

有料アプリの開発

アプリ開発によって収益を得るためのオーソドックスな方法は、有料アプリの配信です。有料アプリには、ダウンロード時に料金を支払うタイプと、月額課金が発生するサブスクリプションタイプの2種類があります。有料アプリの配信で得られる収入の目安は、Android・iOSともに配信価格の約70%程度。残りの30%はマーケットに手数料として支払うことになります。

最近では、無料アプリでも充実した機能を提供しているアプリが数多くリリースされているため、個人開発のアプリを購入してもらうには、他との明確な差がなければ難しくなってきています。まずは無料アプリとして配信し、追加コンテンツやより多くの機能を利用する場合には有料にするといったアプローチをとる方が現実的かもしれません。

広告収入

自分で作ったアプリ内に広告を掲載して広告収入を得る方法もあります。アプリの広告収入は、おもに「クリック単価」と「クリックされる回数」によって決まります。

ユーザーが広告をクリックしてくれる確率は、1.25%~2.5%と言われているので、1000人のユーザーのうち広告をクリックする人数は、約12人~25人となります。クリック単価が約40円だとすると、広告収入は約480円~1000円となります。この数字からもわかるように、マネタイズするには即金性が低く難易度もかなり高くなります。

また、アプリ内広告はユーザーから敬遠される傾向にあるので、たとえ数万人のユーザーが利用したとしても広告収入はさほど多く見込めないのが現実です。

受託開発

受託開発とは、企業から案件を受託して開発を行うことを指します。アプリ開発というと、個人向けをイメージされる方が多いでしょうが、最近では業務アプリといった企業向けのアプリ開発の需要も高まってきています。企業向け案件は単価も高いですし、受注できるスキルや経験があるならば、有料アプリの配信や広告収入と比較すると、安定した収入が得やすい方法と言えるでしょう。

ただし、企業案件である限り納期が必ず設定されています。定められた納期で完成させられるのか、また自分のスキルに合致している案件なのかといったことはきちんと確認しましょう。「やっぱりできませんでした」となれば、多くの人に迷惑をかけますし、なにより自分の評価もマイナスになってしまいます。一度下がった評価を覆すのは至難の業です。単価がいいからといって安易に案件に飛びつかないようにしましょう。

個人でアプリ開発は難しい?

「アプリ開発で一攫千金を狙いたい」
「アプリ開発を皮切りに起業したい」

といった思いがあるのならば、個人でアプリ開発にチャレンジしてみる価値は十分にあるかと思います。『GREE』や『価格.com』、『メルカリ』などといった今の時代を牽引する大企業は、個人のアプリ開発から始まった一例です。

しかし、全体から考えるとこういった成功をおさめた個人でのアプリ開発は、ほんのひと握りだということは理解しておきましょう。まったく稼げない、もしくは数百円、数千円程度稼げてサービス終了となるパターンがほとんどです。

また、企業案件と違って個人で開発する場合は納期なども特にありません。自分で「いつまでにここまでは絶対に完成させる」などといったロードマップを作らないと途中で投げ出してしまうのが関の山ですし、個人の力だけで0から1を作るのはかなりハードモードです。ただ、完成させた先にはお金以外に「自信」「知識」「経験」「作品」などといったものが残るので、次のタスクにつながることは間違いないでしょう。

副業でアプリ受託開発を行う場合の単価目安

既存アプリの機能追加や不具合修正などの案件では、1件あたり約5,000円~10,000円程度で募集があったりします。作業量によっては、約50,000円前後の案件も多くあります。新規開発でスタート段階から任されるような案件では、30万円以上のものもあります。しかし、副業で30万円以上を超える案件を行うとなると、時間も限られているため、納期までに完成しない可能性が高くなりますので、そこは慎重に案件を選ぶべきだと言えます。

時給換算だと、約2000円~5000円程度の案件が多くなります。副業だと土日のみの稼働になることが多くなり、クライアントも「この人は短い時間でどれぐらいのパフォーマンスをしてくれるのか」といったことによりシビアになりますので、経験者しか募集していないところが多いです。受託開発で案件を獲得するには、やはり実績が一番大事になってくるところではあります。

アプリ開発案件獲得のためにおさえておきたい言語

アプリ開発の案件獲得のためには、やはりプログラミング言語の習得は必須となりますので、おさえておきたい言語について確認しましょう。

Swift

iOSアプリを作る場合に必須となるプログラミング言語が「Swift」です。アップル社が2014年に発表したオープンソースのプログラミング言語で、一癖あるObjective-Cに「読みやすさ」「書きやすさ」を加えて改良された言語でもあります。そのため、習得難易度はそれほど高くないとも言えます。

オープンソースであるため、基本的にはSwiftで開発されたアプリケーションのソースコードは自由に参照可能です。また、作ったアプリはAppStoreで配信できますが、配信には審査が伴います。

Objective-C

Objective-Cとは、C言語をベースに開発されたオブジェクト指向型のプログラミング言語です。Objective-Cの長所でもあり、短所でもあるのが、C言語をベースとした言語であることです。C言語は古くさいと言われますが、連綿と受け継がれるライブラリ類などは今も多くのシステムで使用されています。しかし、C++に比べてもわかりにくい表現が多数あり、習得までなかなか一筋縄ではいかないのも事実です。

初期のiOSアプリの多くがObjective-Cで書かれており、Objective-Cで開発されたアプリは現在も使われています。ですので、修正案件などでiOSアプリを触る場合は、Objective-Cを見る機会は多くなります。iOSアプリ開発の言語を今から習得するのであれば、Objective-CよりもSwiftを選択する方が良いかもしれません。

Kotlin

Kotlinとは、GoogleがAndroidアプリ開発の公式言語に採用したオブジェクト指向型のプログラミング言語です。Javaをより簡単かつ安全に記述できるように改良された言語で、Javaとの完全な互換性を持ち、JavaとKotlinを相互に混在させたプログラミングも可能です。Kotlinを採用したアプリはGoogle Play上で年々数を増やしてきていますので、Androidアプリ開発をやってみたい方は習得必須になってくるでしょう。

余談ですが、Kotlinの由来は言語の開発地であるサンクトペテルブルクに近いバルト海フィンランド湾にあるコトリン島だそうです。コトリンとは、フィンランド語で「やかん」を意味し、言語のロゴマークにもやかんが採用されています。

Java

プログラミング言語の代表格がこのJavaです。Javaの特徴はとにかく汎用性が高いところです。上述のKotlinが正式採用されるまでは、AndroidアプリのほとんどがJavaを使用して開発されていました。

基本的にはWindowsやMacなどのOSにこだわらず開発でき、また大規模システム開発やWeb開発、アプリ開発、ゲーム開発などに用いられるため、Javaでプログラミングができれば、案件獲得に困ることはまずないでしょう。

ただし、習得難易度はやや高めです。プログラミング初心者が独学でJavaを習得するのはかなりハードモードです。早く習得したければ、スクールなどに通う方が良いでしょう。

副業で受託案件を獲得する方法

最後に副業案件を獲得する方法についても確認します。

副業マッチングサービス

「仕事を発注したい人」と「仕事を受注したい人」をマッチングさせるサービスが副業マッチングサービス。

マッチングサービスでは、職種や働き方に合わせた様々な案件が掲載されているのが特徴で、自分のスキルを発揮できそうな案件やチャレンジしてみたい案件に応募して、お互いの合意があれば契約が成立するという流れになります。

マッチングサービスならWorkshipがおすすめ

アプリ開発の副業は稼げる? 案件相場や主要言語を解説
(画像=▲出典:Workship、『Workship MAGAZINE』より 引用)

代表的なフリーランスマッチングサービスには、『Workship』があります。エンジニアだけでなく、デザイナーや人事労務、営業など幅広い職種の方が登録しており、「週1~OK」「在宅ワークOK」といった希望する副業スタイルにあわせた案件が多いのが特徴です。

クラウドソーシングサービス

代表的なクラウドソーシングサービスには、『クラウドワークス』や『ランサーズ』などが挙げられます。手始めに副業でアプリ開発の仕事をしてみたいと思っている方は、クラウドソーシングからスタートしてみるのも選択肢のひとつ。

案件数も非常に多く、案件によってはすぐに取り組めるものもあります。一方で、個人や匿名で発注を行っている案件が多いので、単価はやや低めに設定されています。大きく稼ぎたいならば、やはり直接企業と契約することがおすすめとなってきます。

副業エージェント

副業エージェントに登録すると、エージェントから希望条件に合った案件やそれに近い案件の紹介を受ける事ができます。エージェントが企業との間に入ってやり取りをしてくれるので、不安なことや希望していることなどをワンクッション挟んで伝えられる分、気軽な気持ちで案件探しができるのが特徴のひとつです。

また、登録する際には、ひとつのエージェントに絞るのではなく、複数のエージェントに登録しておきましょう。エージェントごとに抱えている案件が異なりますし、同じ案件でも条件が少し変わっていることもあります。

ブログやSNS

ブログやSNSを活用して案件を獲得する方法もあります。

ブログだと自分のポートフォリオを展開しやすいですし、特定のスキルを持ったプログラマーを探しているクライアントはけっこう多いので、ダイレクトメールをもらえる可能性も十分にあります。

ですので、ブログやSNSをやっているのならば、更新は頻繁に行っておきましょう。更新日付が止まっていては、せっかくのチャンスを逃してしまうことにつながりかねません。

おわりに

今回はアプリ開発の副業事情について解説してきました。受託案件は納品すれば収入が発生しますが、仕様などは固められているので、自由度はそこまでありません。個人でアプリ開発を行うならば、仕様などは自分で好きなように決められるので作っていて楽しい反面、それで稼げるかどうか未知数です。自分にとってどちらの副業スタイルが合うのかを早く見つけて、アプリ開発を通じて今よりも収入アップを実現していきましょう。

(執筆:S-KAYANO 編集:Workship MAGAZINE編集部)

提供元・Workship MAGAZINE

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