美しい虹色の光を見せることで有名なオパール。

ただ美しいだけではなく、産地ごとにさまざまな特色があったり、不思議な効果を持つ場合があったりすることも大きな魅力です。

今回は、そんなオパールの魅力をとことんお伝えしていきます。

目次
オパールとは
オパールの種類

オパールとは

知れば知るほど面白い!魔法の石「オパール」
(画像=オパール / credit:Wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

オパールとは、ケイ酸と水分で構成された石です。

石の約10%ほどに水分が含まれているという、珍しい特徴があります。

成分としては、お菓子の乾燥剤などに使われるシリカゲルと同じです。

結晶構造を持たないため、鉱物ではなく「準鉱物」に区分されています。

オパールと同じ準鉱物としては、琥珀、黒曜石、真珠などが挙げられます。

しかし、IMA(国際鉱物学連合)ではオパールは鉱物に区分されています。

オパールは団体によって指定区分の変わる、珍しい石なのです。

日本では10月の誕生石に指定されており、多くの方に愛されています。

鉱物としてのオパール

鉱物名 オパール(opal) 化学式 SiO2・nH2O 結晶系 非晶質 へき開 なし モース硬度 6.5 光沢 ガラス光沢 条痕 白

オパールの名前の由来

オパールの名前の由来は、ギリシャ語で「色の変化を見る」という意味の「オパリオス(opalios)」そして、これが転じたラテン語の「オパルス(opalus)」です。

さまざまな色彩を見せるオパールにぴったりの名前ですね。

また、中世ヨーロッパでは「目の石」を意味する「オフタルミオス(ophthalmios)」とも呼ばれていました。

オパールの歴史

知れば知るほど面白い!魔法の石「オパール」
(画像=ローマのコロッセオ / credit:写真AC、『ナゾロジー』より引用)

オパールと人間との歴史は古く、古代ローマの時代まで遡ります。

古代ローマの博物学者プリニウスは、地理学、天文学、鉱物学などについて記述した著作『博物誌』にてオパールを取り上げています。

プリニウスは「紅玉の火、紫水晶の紫の閃光、スマラグドゥス(エメラルド)の海の緑を見せ、それらが渾然と一体になって信じ得ないような光彩を放っている」とオパールの輝きを絶賛しています。

また、この頃からすでに偽物のオパールも出回っていたのか、プリニウスはオパールを光に透かして見ることで本物かどうかを判別するという鑑定方法も述べています。

ただし、プリニウスが述べた産地からオパールが産出した記録はなかったため、今では「別の宝石だったのではないか」という説が有力となっています。

プリニウスがオパールを絶賛した一方で、そのあまりにも特徴的な虹色の光のせいか、19世紀にはオパールを不吉なものとして扱う時期もありました。

アメリカの鉱物学者クンツは、サー・ウォルター・スコットの小説『ガイアスタインのアン』に登場するオパールが見せる奇妙な特徴から、読者が誤って悪いイメージを膨らませてしまったのではないか、と考察しています。

現代ではそのような迷信もすたれ、オパールは美しい輝きを人々に見せています。

オパールの種類

プレシャスオパール

知れば知るほど面白い!魔法の石「オパール」
(画像=プレシャスオパール / credit:gemstones.com、『ナゾロジー』より引用)

石全体が、キラキラと虹色に輝く「遊色効果(プレイ・オブ・カラー)」を持つオパールを「プレシャスオパール」と呼びます。

オパールといえば、これを想像する方が多いのではないでしょうか。

遊色効果の見え方にもさまざまなパターンがあり、それによって価値が変動する場合もあります。

代表的なものとしては、

  • ピンファイア(ピンで刺したかのような小さな遊色効果)
  • ピーコック(孔雀の羽のような、青と緑の遊色効果)
  • フレーム(流れるような縞模様の遊色効果)
  • ハーレクイン(タイルを敷き詰めたような、角張った遊色効果) などが挙げられます。

特に、ハーレクインパタ ーンが出ることは非常に珍しく、滅多に市場に出回ることはありません。

知れば知るほど面白い!魔法の石「オパール」
(画像=ボルダーオパール / credit:moekonagahara、『ナゾロジー』より引用)

岩石の隙間に染み込んだ形で形成されるものも多く、母岩ごとカットして模様のコントラストを楽しむ場合もあります。

そのようなオパールは、「ボルダーオパール」や「カンテラオパール(主にメキシコ産のオパールに使われます)」などと呼ばれます。

ボルダーとは「岩の塊」、カンテラとはスペイン語で「母岩」を意味する言葉です。

コモンオパール

知れば知るほど面白い!魔法の石「オパール」
(画像=コモンオパール / credit:gemstones.com、『ナゾロジー』より引用)

遊色効果を持たないオパールを「コモンオパール」と呼びます。

特徴的な遊色効果を持たない代わりに、美しい地色を持っていることが特徴です。

ブルー、イエロー、グリーンなど、さまざまな色合いを見せてくれます。

中でも特徴的なのが「ピンクオパール」と呼ばれるものです。

これは長らくオパールの一種とされてきましたが、近年オパールとは別の「パリゴルスカイト」という鉱物であったことが判明しています。

しかし、長年の名残で、現在も「ピンクオパール」という名前で流通しているのです。

知れば知るほど面白い!魔法の石「オパール」
(画像=ハイアライト / credit:moekonagahara、『ナゾロジー』より引用)
知れば知るほど面白い!魔法の石「オパール」
(画像=蛍光するハイアライト / credit:moekonagahara、『ナゾロジー』より引用)

また、遊色効果を持たない無色透明のオパールを「ハイアライト(玉滴石、ぎょくてきせき)」と呼びます。

火山の噴気孔から吹き出した水蒸気から形成されたもので、モクモクと煙が立ち上るかのような形が特徴です。

ハイアライトの中にはブラックライトを当てると蛍光するものもあり、天然石とは思えないほどの鮮やかな黄緑色に輝きます。