攻撃を受けた場合に考えられること

今回は、発電ユニットが砲撃を受けて火災になった模様。

発電ユニットとは、蒸気タービンとそれに直結した発電機にことをいう。これらはタービン建屋という格納容器の外側の建物内にある。火災の延焼の可能性はゼロではないが、タービン建屋周りの火災が原子炉方向に広がっていかないような遮断や消火の手段がある。

現在、ザポリージャ原発は改修中で稼働していないという。では事故の可能性はないかといえばそうではない。運転を停止していても熱がじわじわと出続けている(崩壊熱という)。これはいわば福島第一原子力発電所が地震で運転停止した後の状態に等しい。崩壊熱を除去し続けないと事故状態を招く可能性はある。

では、原子炉の建物などが直接砲弾を受けた場合はどうだろうか?

上述すたように格納容器とそれを囲む建物は、非常に頑強にできているので、多少の砲弾の直接攻撃を受けた程度では崩壊しないだろう。しかし、それはあくまで爆発威力の問題なので、十分な破壊力を備えたミサイル攻撃を受ければ破壊する。かつてイスラエルが1981年にイラクの建設中の原子炉を空爆で破壊した事件がある。なお、この事件では原子炉に燃料は入っていなかったので、放射性物質が環境に飛散することはなかった。