カードローンを申し込むときに気になるのが、審査に通るかどうかだ。審査に通らないと、改めて別のカードローンに申し込まなければならないため、手間がかかる。そのため、「審査が甘いカードローンはないか?」と考えるかもしれない。しかし、本当に「審査が甘いカード」はあるのだろうか? 

目次
1.カードローンで審査される3つのポイント
2.カードローンの審査が甘い会社はない
3.消費者金融カードローンを検討する
4.審査通過の確率を上げるためにできること
5.「審査が甘い」カードローンを求める前に

1.カードローンで審査される3つのポイント

まず、カードローンで審査される3つのポイントを紹介しよう。併せて、それぞれにおけるNG行動についても説明する。

審査基準(1)本人の属性……年収の3分の1以上は借りられない

カードローンの審査における本人の属性とは、年収や勤務先、勤続年数、持ち家の有無、他社カードローンの借入金額などをいう。特に重視されるのは、年収と借入金額だ。カードローン会社は、貸したお金を返してもらえなければ経営が成り立たない。そのためカードローン会社は、返済能力があるか、完済できるかどうかを厳しく審査する。

年収については、カードローンの借入希望額に対して収入が低すぎると審査で厳しく見られる可能性がある。借入希望額の3倍以上の年収が必要と考えてほしい。貸金業法の総量規制という決まりによって、貸金業者は年収の3分の1を超える貸付ができないことになっているからだ。

これは、1社だけでなくすべての借入を合計した金額についての規定だ。たとえば、年収300万円の人がすでに100万円を借り入れている場合、追加で借り入れたり、新たにカードローンを申し込んだりすることはできない。つまり、年収の3分の1を超えているか、それに近い借入がすでにあれば、カードローンの審査は通過できないのだ。

ただし、「年収の3分の1の借入」に、住宅ローンや自動車ローンなどは含まれない。それらのローン残高がいくらあっても、カードローンを申し込む際の妨げにはならないことを覚えておこう。

銀行が提供するカードローンは貸金業法の規制外なので、「年収の3分の1を超えてはならない」という総量規制に縛られない。ただし、貸す側は返済してもらう前提で貸付を行うため、やはり「年収の3分の1の借入」は返済能力の判断基準になると考えておいたほうがいいだろう。

参考までに、総量規制の対象となる借入と対象外の借入についてまとめておこう。

<総量規制の対象となる借入>

  • 消費者金融ローン
  • 事業者金融による個人事業者向け融資
  • クレジットカードのキャッシング

    <総量規制の対象外となる借入>

  • 銀行カードローン
  • 銀行・信用金庫、信用組合、労働金庫などによる融資
  • 法人向け融資
  • クレジットカードのクレジット決済
  • 住宅ローン、自動車ローン
  • 高額療養費の貸付
  • 有価証券・不動産を担保とする貸付
  • 不動産売却代金により返済される予定の貸付

審査基準(2)信用情報……ローンやクレジットカードの延滞に注意

カードローンやクレジットカードの支払い・返済、携帯端末代金の分割払いなどで延滞があると、金融事故として信用情報に記録されてしまう。金融事故の記録は、延滞したローンやクレジットカードの契約終了から最長5年間、信用情報機関に残る。記録が残っている間はカードローンの審査に通らない可能性があるため注意したい。

カードローンの支払い用の口座に入金し忘れて延滞した場合も、カード会社によってはすぐに金融事故として扱われる可能性もあるので注意してほしい。「1~2日くらいの延滞は大丈夫だろう」という考えは、すぐに捨てるべきだ。

審査基準(3)他社からの借入……短期間に複数の申し込みを行ってはいけない

短期間(目安は半年間)で複数のカードローンに申し込むのはNGだ。カードローン会社は、申込者がほかにカードローンを申し込んでいるかどうかを知ることができる。複数のカードローン会社に申し込んでいる人を審査に通した場合、総量規制を超えた貸付を行うリスクが高まるため、審査が厳しくなると言われている。

審査に落ちた場合は、半年以上待ってから再度申し込むといいだろう。半年以上経つと信用情報機関から申し込みの記録が消えるので、複数のカードローンに申し込んだことを知られる可能性は低いからだ。

2.カードローンの審査が甘い会社はない

審査落ちに直結するNG行動をしていなくても、確実に審査に通る保証はない。本当の意味で審査が甘いカードローンなど存在しないからだ。

審査が甘くない理由は、以下の2つに集約される。

理由1……貸し倒れのリスクを避けるため

ローン会社が最も避けたいのは、貸し倒れだ。貸し倒れが頻発すれば、事業が成り立たないからだ。

カードローンを利用する人は基本的にお金に困っているから借りるわけだが、収入があれば返済することはできる。しかし、利息を含めた毎月の返済額と収入額のバランスが悪いと、そのうち返済できなくなってしまう。したがって貸す側は、審査によって借り手が返済できる範囲で利用限度額を定めることになる。

その見極めが甘く、借り手が返済不能に陥ってしまうと、カードローン会社は損をすることになるため、基本的に審査が甘くなることはないと考えてほしい。

理由(2)……貸金業法で禁止されている

そもそも、カードローン会社は法律上審査を甘くしてはならないし、審査が甘いことを謳うことも禁じられている。

貸金業法第16条には、『貸金業者は、その貸金業の業務に関して広告又は勧誘をするときは、資金需要者等の返済能力を超える貸付けの防止に配慮するとともに、その広告又は勧誘が過度にわたることがないように努めなければならない』とある。審査を甘くして、返済能力が十分でない人に貸し付けてはならないことになっているのだ。

さらに、同じ第16条では、広告や勧誘において以下の行為を禁止している。

  • 「他の貸金業者の利用者又は返済能力がない者を対象として勧誘する旨の表示又は説明」
  • 「借入れが容易であることを過度に強調することにより、資金需要者等の借入意欲をそそるような表示又は説明」

    「誰でも借りられます」「よそで断られた人も借りられます」といった広告は法律違反であり、行政への登録なしに貸金業を行っている闇金業者である可能性がある。たとえ低い金利を謳っていても、このような業者からは絶対に借りてはいけない。

3.審査通過に不安があるなら消費者金融カードローンを検討

審査が甘いカードローンは存在しないが、消費者金融カードローンなら柔軟に対応してくれる可能性がある。「柔軟」というのは、返済能力の判断において幅があるという意味だ。銀行カードローンには、消費者金融カードローンよりも審査が厳しい理由がある。以下で詳しく見ていこう。

銀行カードローンの審査には保証会社の審査が加わる

銀行カードローンの審査では、銀行に加えて保証会社の審査も加わるため、必然的に審査が厳しくなる。また、銀行カードローンでは警視庁のデータベースと照合し、暴力団など反社会的勢力の関係者でないかチェックしており、これも審査の厳しさにつながっている可能性がある。

銀行カードローンは消費者金融カードローンと比べて金利が低い傾向がある

銀行カードローンは、消費者金融より金利が安いことも理由の一つだ。金利が低い分、銀行側の利益は小さくなる。その分リスクを取りにくいため、審査が厳しくなるのだ。参考までに、主要なカードローンの金利をまとめておこう。

主要なカードローンの金利比較

ローン会社 ローン名称 金利
消費者金融 アイフル キャッシングローン 年3.0~18.0%
プロミス フリーキャッシング 年4.5~17.8%
レイクALSA 年4.5~18.0%
銀行 楽天銀行スーパーローン 年1.9~14.5%
三井住友銀行 カードローン 年1.5~14.5%
三菱UFJ銀行 バンクイック 年1.8~14.6%
※アイフル・プロミス・レイクALSA・楽天銀行・三井住友銀行・三菱UFJ銀行の公式ホームページを基に筆者作成

成約率が審査通過の一定の目安になる

成約率とは審査通過率のことだが、銀行カードローンはこれを公表していない。一方消費者金融カードローンは公表しており、おおむね30~45%で推移している。消費者金融カードローンであれば成約率を比較できるので、成約率の高い会社を選んで審査通過の確率を上げることはできるだろう。

とはいえ55~70%が審査落ちするのだから、決して審査は甘くないということだ。

4.審査通過の確率を上げるためにできる3つのこと

審査では返済能力を見られるので、審査通過のためにできることはほとんどないと言える。しかし、審査通過の確率を少しでも上げたいなら、以下の3点については意識しておきたい。

方法1……他社借入件数・金額をできるだけ減らす

他社カードローンやクレジットカードのキャッシングで借入が多いと、総量規制における年収の3分の1の規定に触れなくても、審査ではマイナス要素となることがある。特に、件数が多いとローンの返済をほかのローンの借入によって返済する「多重債務」を疑われてしまう。複数のローンに残債がある場合は、額が少ないものから完済して債務を整理しておこう。

方法2……収入証明書の提出に協力する

貸金業法では、貸金業者から50万円超を借り入れる場合か、ほかの貸金業者からの借入も合わせて100万円超を借り入れる場合は、借り手に収入証明書類の提出を求めている。

ここでいう収入証明書とは、給与明細書や確定申告書、源泉徴収票、所得証明書などのこと。中でも源泉徴収票は、年収の確認と勤務先の確認が1枚でできるので便利だ。給与明細書でもいいが、こちらは直近の2ヵ月分を求められることが多い。

貸金業法における収入証明書類の提出義務に該当しない場合でも、審査中や利用中に提出が求められることがある。その場合は、すみやかに提出するようにしよう。

方法3……借入希望金額は必要最低限にする

借入希望金額が高額になるほど、審査は厳しくなると言われている。本当に必要な金額を申し込むことが大切だ。収入証明書の提出が必要になる50万円までなら、審査通過の難易度はあまり高くないと考えていいだろう。

5.「審査が甘い」カードローンを求める前にやるべきこと

「審査が甘い」カードローンを求めている人は、返済能力に自信がないのかもしれない。そのような人は、仮に借入ができたとしても返済に四苦八苦する可能性が高い。多重債務を経て、最終的に自己破産まで追い詰められてしまうおそれもある。

カードローンの審査が不安なら、金融庁や日本貸金業協会の相談窓口などを利用するなど、まずは選択肢を広く持つことを考えたい。

文・モリソウイチロウ(ライター)
 

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