国家資格試験に期待すること

国家資格試験に期待することは2つ。1つ目は日商簿記検定と同様、ネット試験導入による、手書きから「入力」へのシフトです。

日商簿記検定の場合、解答の文字数が少ないため、さほどメリットはありません。しかし、弁護士や税理士・中小企業診断士試験に採用されれば、大きなメリットがあります。具体的には、上述の、「訓練」が不要になるなど受験者側のメリット。加えて、文字が見やすくなるため採点が行いやすい、など採点者側のメリットもあるのです。

2つ目は、 電卓から表計算へのシフトです。

ネット試験導入と合わせ、機能制限した表計算の利用導入はできないものでしょうか。いまどき、多くの受験者に電卓の「訓練」をさせたり、電卓ミスで不合格になるのは「酷」ではないかと思います。

不毛な「訓練」を排し、内容の理解度を高めた方が、優れたビジネス人材を輩出できるはずです。

「何を」出題すべきか

日商簿記検定は、平成27年4月の改定で、「実務から乖離している」内容(特殊仕訳帳)を、試験対象から除外しました。一方、税理士試験(簿記論)では、いまだ同内容を試験対象に含めています。この点においても、民間資格の方が、国家資格に先んじている、と言えるでしょう。

コロナで、新しい生活様式が求められている今。安全対策だけではなく、余計な「訓練」や、実務と程遠い内容を勉強させず、実力を向上させる試験へ変容することを期待します。

[ 参考 ]
※ 資格区分について
公的資格とは、文部科学省や経済産業省などが認定する資格のこと。国が認定していない点では、民間資格であるが、各省庁が認定することにより、他の民間資格と差別化を行っている。

文・関谷 信之/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム

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