日本の電気自動車バッテリー分離膜の先頭企業である「旭化成(ASAHI KASEI CORPORATION)」が最近、価格を引き下げて韓国のバッテリーメーカーにも「ラブコール」を送ったという。しかし、韓国国内のバッテリー企業は値下げにも関心がなく、その背景に関心が集まっている。韓国メディア「NEWSIS」が報じた。(写真:分離膜を検査するSKIETの社員=SKIET提供)

19日、バッテリー業界によると、旭化成は従来の分離膜販売価格を20~30%引き下げて韓国バッテリー企業に納品を提案したという。

パナソニックなど日本のバッテリー企業が、いち早く生産能力を拡大できずにいるため、旭化成が販路拡大を推進しているものと見られる。LGエナジーソリューション、SKオン、サムスンSDIなどの韓国内バッテリー3社が、世界の電気自動車バッテリー使用量で昨年の2020年比50~100%の成長を見せたのに対し、パナソニックの成長率は33.5%にすぎなかった。

旭化成が大々的な割引幅を打ち出したが、提案してきた製品価格を見ると大きな意味がないという分析が出ている。

サムスン証券のチョ・ヒョンリョル委員は「旭化成が提案した価格は平方メートル当たり1.3ドル(約150円)水準だが、SKアイイーテクノロジー(SKIET)が昨年に販売した分離膜価格は0.9ドル(約104円)に及ばない」とし「今回の20~30%水準値下げのニュースを大きく意味する必要はないと判断される」と説明した。

チョ委員は「最近、完成車のEV(電気自動車)出荷に支障が生じ、バッテリーセル企業のセル製品生産に支障が生じており、これはバッテリー素材企業にも転移している」とし「SKIETも最近の業績発表で顧客企業の出荷に支障が出た一部の物量は一部値下げを考慮したマーケティングで販売する計画だ」と明らかにした。

旭化成が値下げをしても、追加の競争力を確保するのは難しいという意味だ。

韓国のバッテリー業界も同様の反応を見せている。バッテリー大手のある関係者は「日本企業が分離膜製品を安く発売しても安くはない」とし「分離膜市場には低価格でありながら品質が良い中国産もあり、韓国企業のSKIETもよくしているため、あえて高い日本製品を使う理由がない」と話した。

実際、LGエナジーソリューションやサムスンSDIなど、韓国バッテリー業界は供給先の多角化のレベルで、中国製からSKIETに至るまで、国内外の複数のところから分離膜を購入しているという。

別のバッテリー大手関係者は「日本業界の製品は概して価格が高い」とし「旭化成の分離膜製品の価格があまりにも高かったため、値下げしても意味がない」と述べた。

旭化成は、リチウムイオンバッテリーの宗主国である日本で、東レと共に分離膜市場をリードしてきた企業だ。かつてはスマートフォンなど、IT向けバッテリー市場を総なめしたが、後発走者のSKアイイーテクノロジーなどに押され、プレミアム分離膜市場のトップの座を明け渡した。

SKIETの昨年の投資説明書によると、2020年基準の該当市場で生産能力基準の市場シェアはSKIETが26.5%(4億9100万平方メートル)で1位、旭化成が23.7%(4億4000万平方メートル)で2位、東レが23.6%で3位だった。現在、グローバル「ティア1(Tier1)」湿式分離膜市場で旭化成と後発走者のSKIETが首位を争っている。ティア1分離膜市場とは、電気車市場を率いる主要完成車メーカーに搭載されるバッテリーに供給される分離膜製品市場を意味する。

JPモルガンは最近の報告書で、SKIETについて「ポーランド工場の稼働遅延によって短期的な損益変動性が存在する」としながらも「中長期的に技術リーダーシップと戦略的に米国市場を目標にすることによる成長性が有効だ」と明らかにした。

提供元・コリア・エレクトロニクス

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