SYE(エスワイイー)は2017年にフランスで設立された日本未上陸のマイクロウォッチブランド。ブランド名は“Start Your Engine (エンジンスタート)”を略して頭文字を組み合わせたもので、“エンジン”という言葉が示しているように、往年のクラシックスポーツカーからデザインインスピレーションを得たデザインが特徴のひとつとなっている。

創設者のアルノー・ペゼロンは、 SYEを創設する前に時計ブログ、“MontresDesign”の運営管理者であったユニークな経歴の持ち主であり、このブログの運営を通じて多くの時計デザイナーと知り合い、いつかは自分自身の時計ブランドを立ち上げたいと考えるようになった。
2017年にSYEを立ち上げたペゼロンは、25年以上にわたり業界の大物たちのために時計をデザインしており、車の滑らかな曲線、輝くクロームの閃光、年季の入ったレザーシートの官能的な手触りなど、クラシックカーを基にしたデザインインスピレーションを、現在のウオッチメイキングのプロセスと組み合わせ、ヴィンテージスポーツのテイストをもつモダンな時計を作り出している。

様々な時計に接して審美眼を養ってきたベゼロンが目指したのは、ほかのブランドとは違うSYEならではのデザインだ。彼はSYEのデザイナーであるルドヴィック・ブランカー、ミシェル・ベラと協力して試行錯誤を繰り返し、時計のレザーストラップとシャープなスチールケースをシームレスに一体化させたデザインを考案。このプロジェクトでSYEはフランスで定評あるレザーストラップメーカー、ジャン・ルソーにも協力を仰ぎ、試作を経て、時計のスチールケースにぴったりと収まるストラップ機構を完成させる。

“ファストバック”と名付けられたこの機構は、裏ブタとは別に、ストラップを固定する特殊なプレートを備えているのが特徴。このプレートは中央にあるブルーのネジで裏ブタと固定できる構造になっており、ストラップの端にあるメタル補強材をプレートとケースで挟み込むことで、簡単にストラップの取り外しを行える。利便性の高さに加え、レザーとケースを美しく融合させることにより、独自のラグレスケースデザインを実現したことも、SYEの魅力と言えるだろう。
SYEはフランス、パリを拠点にデザインや企画立案を行い、ケース、文字盤、針などのパーツは香港で製造。フランス南部の伝統的な時計製造の街、ブザンソンにパーツを集約し、組み立てと検査を実施することで、手の届く価格帯でありつつ、デザイン性と品質にこだわった時計を製造している。今回はSYEのウォッチコレクションのなかから代表的な2本の時計を紹介する。
SYE(エスワイイー)
MOT1ON Automatic 24

エレガンスとダイナミズムが融合したスモールセコンドモデル。高品質な316Lステンレススチールのボディは5つの機械部品で構成されており、ボディ周囲にサテン仕上げのスチール、ベゼルにポリッシュ仕上げスチール、ケースバックにはビーズブラスト仕上げを施したている。

サイズは40.5mmで厚さ13.4mm。無反射コーティングのサファイアガラス風防を採用。機械はミヨタ製のCal. 8217自動巻きムーヴメントを搭載。 文字盤は4種類、ストラップは7種類から選択が可能。 販売価格はストラップによって異なるが、8万2000円から8万9000円。
SYE(エスワイイー)
MOT1ON Chronograph

バランスのとれた文字盤デザインは、スポーティな雰囲気を演出するだけでなく、視認性にも優れている。ケースのサイズは40.5mmで厚さ13.4mm。無反射コーティングのサファイアガラス風防を採用。

ムーヴメントはセイコーインスツル製のCal.VK64 メカクォーツを搭載。文字盤は4種類、ストラップは9種類から選択が可能。販売価格はストラップによって異なるが 6万6000円から7万2000円。
文◎William Hunnicutt
提供元・Watch LIFE NEWS
【関連記事】
・【第4回-セイコー(プレザージュ&セイコー 5スポーツ)】3大国産時計の売れ筋モデルを調査、本当に売れた時計BEST3
・【1位〜5位まで一挙に紹介します】“タイムギア”読者が選んだ、欲しい腕時計ランキングTOP10-後編
・進化したエル・プリメロを搭載したゼニスの意欲作、“クロノマスター スポーツ”が登場
・菊地の【ロレックス】通信 No.078|小振りで着けやすいベーシックな旧エアキング
・アンティークの無名クロノグラフって知ってますか?