ニュージーランド沖合で、非常にレアな”Ghost Shark(ゴーストシャーク)”の赤ちゃんが発見されました。

和名ではゾウギンザメと呼ばれるこのサメは、海底に生息しておりめったに見つからないため、幼個体の目撃例は非常にまれです。

今回は孵化直後のベビーであり、ゴーストシャークの知られざる生態の解明に期待が寄せられています。

目次

  1. 「ゴーストシャーク」って、どんなサメ?

「ゴーストシャーク」って、どんなサメ?

キモカワで激レアな「ゴーストシャークの赤ちゃん」が捕獲される
(画像=ゴーストシャークの成熟個体(メルボルン水族館) / Credit: ja.wikipedia、『ナゾロジー』より 引用)

「Ghost Shark(ゴーストシャーク)」というのは英名であり、正式な学名は「カロリンクス・ミリ(Callorhinchus milii)」、標準和名は「ゾウギンザメ」です。

海底に隠れて幽霊のように姿を見せないことから、この英名が付けられました。

ゴーストシャークは、骨格のほとんどが軟骨でできている軟骨魚類の一種です。

軟骨魚類は、板鰓(ばんさい)類と、全頭(ぜんとう)類に分かれ、前者にサメやエイが、後者にギンザメが分類されます。

ゴーストシャークは、ギンザメ目に属します。

彼らの分布域は、オーストラリア南岸〜ニュージーランド周辺に限られており、種の大半が水深200mに生息。

成熟個体は全長50〜70cmまで成長し、最大寿命は15年と推定されています。

最大の特徴は、和名にもある通り、ゾウの鼻のような器官(吻端、ふんたん)です。

これは微弱な電磁場を感知でき、それで海底を探りながら、エサを見つけます。

キモカワで激レアな「ゴーストシャークの赤ちゃん」が捕獲される
(画像=発見されたゴーストシャークの赤ちゃん / Credit: Brit Finucci/NIWA – “Very rare find” of ghost shark hatchling(2022)、『ナゾロジー』より 引用)

さて、今回のゴーストシャークの赤ちゃんは、ニュージーランド南東近くの水深1200mほどで捕獲されました。

採取したNIWA(国立水圏大気研究所)のブリット・フィヌッチ(Brit Finucci)氏によると、「水中個体群の調査トロールを行っているときに偶然に捕獲された」とのこと。

「ゴーストシャークの野生個体が見つかることは稀なため、非常に貴重は発見です」と続けます。

赤ちゃんは、腹部がまだ卵黄でいっぱいだったことから、孵化した直後と判断されました。

ゴーストシャークの稚魚は海底に産み付けられた卵の中で成長し、孵化するまでの間、卵黄を食べて栄養にします。

キモカワで激レアな「ゴーストシャークの赤ちゃん」が捕獲される
(画像=卵のサンプル / Credit: Brit Finucci/NIWA – “Very rare find” of ghost shark hatchling(2022)、『ナゾロジー』より 引用)

フィヌッチ氏は「稚魚は成体とは異なる特徴を示すため、この発見は幼生期についての理解を一層深めるものである」と指摘します。

研究チームは今後、本個体の種の特定から始めるという。

「組織サンプルを少し採取し、遺伝子をランダムに調査します。それから、形態計測や身体計測を一通り行うことで、どの種であるかを特定できるでしょう」と話しました。


参考文献

New Zealand: Scientists discover rare baby ghost shark

“Very rare find” of ghost shark hatchling


提供元・ナゾロジー

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