「飽きさせない」ために、商品開発機能も担う

「私たち日本人にとっては当たり前のことだが、日本のお菓子の特徴はバリエーションが多いこと」だと近本氏は強調する。「日本では『季節限定』『ご当地限定』などがたくさんあって消費者を飽きさせない工夫があるが、アメリカをはじめ海外のお菓子は、年間を通じてどこでもほぼ同じラインナップ。日本のお菓子の入れ替わりの早さも、外国人にとっては限定感、プレミアム感が増す理由」(同)。
180万人のメルマガ会員へのアンケートでは、4割が、日本を訪れたことがある、またはこれから行ってみたいと思っていると答えたという。日本のお菓子を食べたことがある会員も多く、日本ならではのお菓子の詰め合わせは安定した人気がある一方で、つねに新鮮さも求められる。そこでバイヤーチームは、客を飽きさせないように毎月異なるテーマを設定し、テーマに合った商品の買い付け、商品開発を行っている。メーカー、問屋と地道な交渉を続けていることから、ICHIGOの理念、ビジネスモデルに賛同してくれるメーカーがほとんどだ。「国内が人口減少の一途を辿る中、地方の小規模メーカーさんはとくに新たな販路を模索している。海外向け販路としてICHIGOに期待してくださる会社さんは多い」(同)。
最近はとくに和菓子が注目されているようで、直近で反響が大きかったは鯛焼きだ。和菓子の場合賞味期限の問題が気になるが、「あらかじめ期限の長いものを選んだり、メーカーとも相談して作ってもらっているので問題になることはない。そもそも、会員数が決まっているので、在庫が発生しないのも当社の大きな強み」(同)。
苦境に立つお菓子メーカーの販路開拓、その先には地域の復興や活性化も視野に

主力のお菓子の詰め合わせボックス以外にも、キャラクターグッズを詰め合わせたボックス、EC以外のサービスであるクレーンゲームアプリ「TokyoCatch」など、現在6つのサービスを展開する。「ICHIGOで日本のものが何でも買えるように」なることを目指し、新サービスの立ち上げ準備も着々と進んでいる。
2021年末には、和菓子の詰め合わせボックス「SAKURAKO」で新たに地方自治体と連携した取り組みにもチャレンジした。「コロナ禍においてインバウンドが激減し困窮するお菓子屋さんと、これまでも積極的に連携してきた。今回お話をいただいた神奈川県でも、お土産物の販売がほぼゼロとなったメーカーさんが苦境に立たされていると聞いて、新しい販路として少しでも役に立てたらと考えた」(近本氏)。そうして神奈川県内の菓子メーカーのお土産菓子のほか、県の特産品を使ったお菓子を商品開発し、自治体公式のオリジナルボックスを完成させた。

「地方ならではのこだわりのお菓子は、海外のお客さまにはとても魅力的。今後は全国の自治体と連携を取りながら、地域の復興、地方の活性化につながる活動を進めて、日本を元気にする役割も担いたいと考えている」(同)。
提供元・DCSオンライン
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