存在感が増すテイクアウト・デリバリー専門店

市場競争が苛烈化するとともに消費者のニーズも多様化している。

コーヒーショップといえば、中国では従来スターバックスや「%Arabica」、「Seesaw」のような快適な雰囲気を醸し出したり、店舗のデザインに凝ったりと空間に付加価値を与え提供するスタイルが基本的だった。ターゲット層となるのは自宅や職場以外でくつろげる第三の場所を求めている消費者だ。

しかし、近年コーヒーが持つ目覚ましの効果自体を求めるサラリーマンの消費者が増加しており、忙しさの中で出前アプリを通して注文し、比較的に優しい値段で手軽に購入できるテイクアウト・デリバリー系コーヒーショップの人気が高まっている。

MannerやNowwa、ラッキンコーヒーなどを例に挙げると、店舗はコンパクトで、基本的には座って飲むスペースは設けられていない。その代わり、価格帯も15元(約272円)あたりに抑えられており位置しており、コスパ的にコーヒーの効能を重視する消費者にとっては魅力的である。

実際、去年では北京と成都ではコーヒーの出前注文数が2倍に膨れ上がるなど大幅に増加した。そうした背景の中、スターバックスも今年、中国出前サービス大手の「美団(meituan)」と業務提携を交わし、出前サービス分野にも力を入れている。

テイクアウト・デリバリー専門店は通常小規模で面積をあまり必要とせず、ブランド側にとって賃貸料や内装コストなどの費用を比較的に低く抑えることができ、迅速な事業展開というメリットもある。

中国コーヒー市場の行方

去年の中国コーヒー輸入量が前年比86%もアップしたことから、今後中国のコーヒー消費量はさらに増加していくことが予想される。

そして、より大勢の消費者がコーヒーを日常的飲み物として必要としていくにつれ、ファストフードのように効率化され、商品価格が手頃のテイクアウト・デリバリー専門店もどんどん出現する可能性が高い。

同時に、スターバックスやラッキンコーヒーなどのコーヒーブランドはポテンシャルがある地方都市への進出も計画しており、今後地方都市を狙うブランドの競争がより激化することが予想される。

しかし、地方都市ではまだコーヒーを飲む習慣が定着しておらず、消費力でも大都市に比べて低いため、コーヒーの普及と適切な価格調整が課題となってくる。

そして、地方都市ではすでに中国ドリンクチェーン大手の「蜜雪氷城」がコーヒーチェーン事業を展開し、版図を広げていた。元々、低価格戦略に長けている同ブランドは、やはり5元(約91円)と安価な値段で売り出しており、すでに約400店舗近くを展開している。

一級都市を主戦場とするコーヒーチェーンブランドが地方へと転戦する際にはこうした壁にも直面しなければならない。

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