最近、毎年のように豪雨による大きな災害が発生しています。気候変動に関する国際的政府間機関のIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)は、今のまま温暖化が進めば2040年には世界の気温が産業革命前よりも1.5度上昇し、猛暑と豪雨が増加すると警鐘を鳴らしています。そんな厳しい環境を迎えた私たちは、災害リスクを意識した家選びがとても重要になってきています。今回は、「水害」を意識した家選びの方法をまとめました。
目次
マンションの高層階は都市型災害に弱い
・都市型水害が起きる原因
・マンションが水害の影響を受けるとどんな影響があるのか
マンションの災害リスクを確認する方法
・土地の成り立ちを国土地理院で知る
・ハザードマップポータルサイトで確認する
マンションの高層階は都市型災害に弱い
2019年10月に関東地方に上陸した台風19号は、史上最大級の勢力と雨量をもって各地に甚大な被害をもたらしました。
現在マンションの高層階に住んでいる、あるいはこれからタワーマンションに住むといった方々は水害を気にしなくていいでしょうか?東京や大阪などの都市では、大都市ならではの「都市型水害」と言われる被害が発生しています。「都市型水害」は山間部で起きる災害とは違い、大都市の構造が原因となり発生する災害です。具体的に「都市型水害」では、どのような被害が起きやすいのでしょうか。
都市型水害が起きる原因
都市部では地表がコンクリートやアスファルトで覆われているため、雨水などが地面にほとんど浸透しません。そのため、下水道や雨水管で雨水を排出する仕組みになっています。しかし、そのシステムでは一度に処理できる水量に限界があるため、一定量を超える集中豪雨が発生すると対応できなくなります。
そして、下水道などで処理されない雨水は行き場を失い、地下街や地下鉄に流れ込んでしまうのです。さらに雨水は低地や窪地にも流れ込みますので、このような地形の場所にある建物では注意が必要です。
マンションが水害の影響を受けるとどんな影響があるのか
「高層マンションだから水害には関係がない」ということは決してありません。建物の土台や敷地に影響があれば大掛かりな修繕が必要になります。また、地下に駐車場があるマンションであれば駐車場全体の修繕が必要になるかもしれません。
費用負担だけではありません。大規模マンションの場合、発電機などは地下に設置されることが多いのですが、地下は水が溜まりやすい場所のため、地下への浸水によって水道管や電線の配管が破壊され、断水や停電などが発生する可能性があります。
さらに地表まで浸水することになれば、電車や車での移動ができなくなるだけでなく、マンションが孤立し、電気、水、ガスといったライフラインがストップする可能性もあります。非常用電源があるマンションもありますが、それでも耐えられる日数には限りがあるしょう。
実際に、2019年10月の台風19号の影響による豪雨によって浸水し、停電が発生したタワーマンションのニュースは衝撃的なものでした。エレベーターは停止し、地上何十階もの高さの住居まで歩いての登り降りを余儀なくされただけでなく、全戸へ水を供給するポンプも停電で使えなくなり、断水にまで見舞われてしまいました。お風呂やトイレにも相当な困難を強いられている状況です。
参考:
水道、トイレ、エレベーターが使えない… 武蔵小杉タワーマンションの教訓:東京新聞 TOKYO Web
マンションの災害リスクを確認する方法
土地の成り立ちを国土地理院で知る
集中豪雨による水害の被害が増加しているこのような時代には、マンションのデザインや立地以外にも、ハザードマップをチェックしながらマンションを選ぶ視点も必要です。
とくに河川の近くの物件を購入する方や低層階に住む方は、どれくらい浸水しやすいかを確認した方がよいでしょう。
国土地理院が公開しているは、その土地の成り立ちと自然災害リスクが色別でわかります。
身の回りの土地の成り立ちと、その土地が本来持っている自然災害リスクについて、地図上をワンクリックで確認できます。
調べたい住所を入力した後「情報」>「ベクトルタイル提供実験」>「地形分類(自然地形)」とクリックすると、下記のように地形による分類の図となります。
参考:ベクトルタイル「地形分類」 ―身の回りの土地の成り立ちと自然災害リスクがワンクリックで分かります―|国土地理院
ハザードマップポータルサイトで確認する
ハザードマップは、国土交通省のハザードマップポータルサイトで確認することができます。洪水のほか、土砂災害、津波のリスクを調べることができます。
ハザードマップを見るには、大きく分けて2通りの方法があります。1つは、各市町村で作成したハザードマップを見るという簡易なものです。もう1つは住所や場所の名前で検索し、そのエリアにどんな災害リスクがあるかを詳しくリサーチするものです。どちらも下記のサイトから検索できますので、ぜひチェックしましょう。
参考:国土交通省ハザードマップポータルサイト