韓国企業がこれまで日本から全量輸入してきた半導体とディスプレイ製造工程の核心原料の国産化に成功した。2019年に日本が半導体・ディスプレイ核心素材3種に対し、韓国への輸出規制を強化してから3年足らずで収めた成果だ。韓国メディア「毎日経済」が報じた。(写真:ケムトロニクス事業場)
電子用部品・化学素材専門企業のケムトロニクス(会長キム・ボギュン)は7日、半導体とディスプレイの極紫外線(EUV)露光工程で核心材料であるフォトレジスト(PR)の核心原料を構成する「プロピレングリコールメチルエーテル酢酸(PGMEA)」を超高純度(純度99.999%)で生産するのに成功したと明らかにした。
ケムトロニクス関係者は「日本が輸出規制を発表した後、EUV PR用PGMEAの国産化を目標に製品開発を推進してきた」と伝えた。
PGMEAはペイントや接着剤のような一般製品だけでなく、半導体、液晶表示装置(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)など電子製品の生産にも使われる代表的な溶剤だ。世界的な化学メーカーのダウとライオンデルのみ、独自の技術でPGMEAを生産している。特に超高純度PGMEAは2019年7月、日本が韓国への輸出を制限した3大材料・技術の一つであるEUV PRの核心原料だ。これまで日本と中国からPGMEAを輸入すれば、ケムトロニクスが精製作業を進め、国内企業に納品してきた。
今回、ケムトロニクスがPGMEAの超高純度化に成功したことを受け、高難度の技術力を要求するEUV工程の材料技術の独立を一歩繰り上げることになったという評価だ。ある素材業界関係者は「EUV級PGMEAは微細工程のEUVエッチングに必要な化学原料で最も難しい技術に挙げられる」とし「世界で初めて5ナイン(Nine・99.999%)級の超高純度PGMEA技術を確保したことは単純な国産化の意味を越えて半導体材料技術分野で超格差を実現できる機会になる」と説明した。
特に、ケムトロニクスはPGMEAの異性体(β-isomer)濃度を1PPM(100万分の1を示す単位)未満に下げる技術を確保した。ケムトロニクスのキム・ボギュン会長は「これまでグローバル企業各社はPGMEAで有害物質に分類される異性体含量を10PPM未満に下げることを要求してきた」とし「ケムトロニクスは環境にやさしいPGMEA技術を開発して事業化するのに成功した」と明らかにした。異性体は、分子式は同じだが構造が異なる物質をいう。米国立職業安全衛生研究所によると、PGMEAの異性体は生体毒性が強く、不妊や奇形児を誘発することができる。最近、世界的にESG(環境・責任・透明経営)の流れが本格化する状況で、ケムトロニクスの成果が電子材料産業全般にわたり環境にやさしい材料に対する認識を転換させると期待を集めている理由だ。
ケムトロニクスは半導体級PGMEA製造工程技術を採用し、直ちに量産化に力を注ぐという計画だ。このため、約200億ウォン(約19億円)の資金を投資し、年末をめどにPGMEA製造工場を完工するという目標だ。素材業界によると、現在、国内PGMEA市場規模は年間2400億ウォン(約230億円)水準だ。今後、半導体産業がさらに成長すれば、1兆ウォン(約958億円)まで市場が拡大するものと見ている。ケムトロニクス関係者は「PGMEAを皮切りに超高純度・エコ化の流れを勘案し、多様な電子材料素材の国産化にも乗り出す予定」と伝えた。
提供元・コリア・エレクトロニクス
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