
(画像=Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より引用)
風に向かって大声で叫ぶ…なんてシーンを映画やドラマで見かけますが、空気の振動である音は、風の中ではどんな影響を受けるのでしょうか?
現実でも強風の中では声が届きにくかったり、聞こえにくかったりします。もちろん音の聞こえやすさは温度や環境による影響が大きいですが、風と音の関係についてはあまり知られていないかもしれません。
「愛してる!」と叫んでも、相手に「え? なんだって?」と言われないために、風が音波に与える物理的な影響について見ていきましょう。
そもそも音とは?

(画像=Credit:pixabay、『ナゾロジー』より引用)
音は簡単に言えば、物体の振動によって生じる圧力波です。
太鼓を叩いたり、ギターを引いたり、声帯が震えたり、音は物質の振動によって発生します。
光(電磁波)は媒体を必要としませんが、音には媒体が必要です。
音は空気中の粒子が伝達する方向へ衝突することで進んでいきます。なので気体以外の液体でも個体でも伝わりますが、何もない真空だと伝わりません。
このため、媒体となる空気の状態はすべて音の伝搬に影響を与えます。温度や湿度も、音の伝わり方には影響するのです。
音と風の関係は、水の流れと水泳選手に似た関係を持っています。
当然、水泳選手は水の流れに逆らうより、流れに乗ったほうが速く泳げるでしょう。同様に、音も風と同じ方向に進む場合速く伝播しますが、逆らった場合には、その勢いが減算されます。
大気中を進む音の速度は343m/sです。ここで、例えば風速13.4m/sだった場合、風下に向かう音は356.4m/sで進むことになりますが、風上に向かう音は329.6m/sに減速されることになるのです。
つまり風は、そのまま音速に影響を与えます。
ただ、風が音に対して起こす影響は単純な速さの増減だけではありません。