GoToトラベルキャンペーン給付金を不正に受け取った疑いが旅工房にも浮上した。観光庁は2月4日、同社とトラベル・スタンダード・ジャパンについて、宿泊実態のない不適切な受給に関与している疑いが明らかになったとし、全体像の解明に向けて調査を進める。旅工房もこれを認め、同日に調査委員会を立ち上げた。同社によると、規模は申請額で6億3000万円。

 GoTo事務局の調査とエイチ・アイ・エス(HIS)が子会社の不正受給問題を調べる過程で判明した。HIS子会社の不正はホテル運営会社JHATとの取引で生じており、JHATが少なからず関与していると推測される。なお、トラベル・スタンダード・ジャパンの川尻郁夫代表取締役社長は旅工房の執行役員を経て、11年に同社設立。20年9月からJHATの平林朗代表取締役社長とともに旅工房の取締役も務めていた(両者はその後退任)。

 観光庁が調査を進める事案は他にもあるが、同2件は疑いが明らかだとして社名を公表した。旅工房は創業以来、海外旅行に特化して展開してきたが、コロナ禍を受けて国内旅行事業に参入。当初からGoToトラベル参加に意欲的だった。しかし、今後の調査結果次第では、参加停止もあり得る。同社の不正事案は一昨年の従業員による売り上げ架空計上と資産不正取得に続くもの。

 観光庁は業界団体に再発防止策を求め、JATA(日本旅行業協会)・ANTA(全国旅行業協会)はコンプライアンスに関わる行動規範の基本形を記した手引きを作成、経営者と従業員それぞれに研修を実施する体制を整えた。JATAのアンケート調査では、中小の旅行会社でコンプライアンスの不足が目立ったというが、上場会社による不正疑惑という事態となった。

提供元・トラベルジャーナル

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