サンマの魅力はどこにあるのか
宮城のサンマ丸干しと熊野のサンマ丸干し、いずれも使用するのは同じサンマですが、これら2つの産地の「サンマ丸干し」には非常に大きな違いが存在しています。それは「脂の量」です。
宮城のサンマ丸干しは、焼くと滴るほどに脂が乗っており、そのジューシーさと脂の甘味が大きな魅力です。一方、熊野のサンマ丸干しは脂が乗っておらず、身がギュッと締まっています。宮城のそれとは対象的に、濃厚でソリッドな身の味わいが魅力といえます。
サンマは産卵のため冬にかけて日本沿岸を南下するのですが、その際に大きな移動を行うので筋肉が締まる一方、身の脂が落ちていきます。熊野で水揚げされるサンマは身の脂が落ちきっており、そのようなサンマを三重や和歌山では好んで食べてきた文化が存在するのです。
昨今の脂ブームから考えればあまり魅力的に聞こえないかもしれませんが、カチッと干し上げられた干物や、和歌山で作られているサンマ棒寿司を食べるとその美味しさに驚かされます。
所変われば魚の魅力も変わる、ということを教えてくれるのがサンマという魚なのです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
提供元・TSURINEWS
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