Point
■魔女料理のレシピに記載されている怪しげな動物は、すべて植物を言い換えているものだった
■これは実は、一般人が安易に黒魔術に手を出さないための予防策
大鍋の中で得体の知れない材料をグツグツ煮込むワシ鼻の老女…
こうして出来上がる毒々しいスープは、魔女の代名詞となっている。
しかし彼女らは本当にこのような怪しげなスープをつくっていたのだろうか?
今回は魔女の本当のレシピを覗いてみよう。
『マクベス』の恐ろしい魔女レシピ
シェイクスピアの『マクベス』に登場する魔女にこんなセリフがある。
「沼地のヘビ一切れ、イモリの目とカエルの足先、コウモリの毛と犬の舌、ヘビの二つに割れた舌、目の見えない虫の毒針、トカゲの脚にフクロウの羽根、大鍋の中で煮えよ焼けよ。煮えたぎる泡のように地獄のスープとなりて、邪悪な魔力を現れよ」
これぞ魔女…というような、期待を裏切らないレシピ内容だ。
ちなみにこの歌詞は映画『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』に登場する、ホグワーツ合唱団の歌詞の中にも取り入れられている。
もちろん『マクベス』も『ハリー・ポッター』もフィクションの世界ではあるが、黒魔術を実際に学んできた魔女は、今も昔も世界中に実在する。ルーマニアでは、実際に魔女が職業として認められているほどだ。
しかし彼女らは、本当にこんなおどろおどろしい魔女料理を実践しているのだろうか。
無論そんなことはない(はず)。第一こんなレシピが公にされれば、動物愛護団体からの苦情や訴えがひっきりなしに届くだろう。
魔女なりの配慮?材料名は植物の言い換えだった
では彼女らが実際つくっていたものは何だったのだろうか。
グロテスクな「魔女レシピ」には、実は魔女ならではの気遣いが隠されていた。
魔女レシピに記載されている材料名はすべてハーブや花などを言い換えたものなのだ。
その翻訳リストの一部(『マクベス』に登場する材料)がこちら。
・イモリの目(Eye of newt)=カラシナの種(mustard seed)
・カエルの足先(Toe of frog)=キンポウゲ(buttercup)
・コウモリの毛(Wool of bat)=ヒイラギの葉(holly leaves)
・犬の舌(Tongue of dog)=オオルリソウ(houndstongue)
・ヘビの二つに割れた舌(Adders fork)=ハナヤスリ(adders tongue)
・目の見えない虫の毒針(Blind-worm)=アシナシイモリ(blindworm)※これだけは本当らしい
このように約1つを除いて、あとはすべて身の回りにある植物となっている。
カラシナの種なんて、ホットドッグ用マスタードに入っているツブツブだ。これなら私たちは日常的に「イモリの目」を食べていることになってしまう。
ちなみに黒魔術界でのカラシナの種は、争いや混乱、不和などを起こす力を持っているという。
しかしなぜ彼女らは、こんな回りくどいことをしていたのだろうか?
どうやらこれは、一般の人々が黒呪術に手を出し、安易に真似たり習ってしまうのを防ぐための予防策だったそうだ。
そのような理由から実在の魔女たちは、植物の一覧すべてに薄気味の悪い名称を与えていたのだ。
もしかしたら「ねるねるねるね」も、「ホンモノ」のカモフラージュレシピだったりして…。
reference: howstuffworks / written by くらのすけ
提供元・ナゾロジー
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