ワールドはもはやアパレルではない

このSPAのプラットフォーム事業を推進する上で、もう一つ欠くことのできない同社のリソースがある。SPAの実践経験を積み重ねてきた「人材」だ。自身も「ITS’DEMO(イッツデモ)」をはじめ多くの新規ブランド開発に携わってきた飯田氏は言う。

「高価格帯のセレクトショップから、Tシャツ一枚が2,000円を下回るようなブランドまで、さまざまな業態で新規事業開発の経験を積んだ社員が同社のコンサルティングチームには集まっている。この事業経験を持った人材なくして、実現性の高いコンサルティングはできない」(同)。

ワールドグループ全体でも、今後はこのプラットフォーム事業を成長させるべく、新規事業開発を通じてSPAのすべてのプロセスを経験した人材の育成に注力していく方針だ。その実践経験を積んだ人材がプラットフォーム事業でコンサルティングに従事し、また自社の事業開発に携わる——。この循環を回しながら、プラットフォーム事業の組織体制に厚みを増していく。

2020年度はコロナ禍の影響を大きく受けながらも、約150億円の売上を達成したワールドのプラットフォーム事業。「ここから200億円、300億円とさらに成長していきたい」と飯田氏は力を込める。2021年9月には外販営業チームも発足し、攻勢を強めるかまえだ。

「誤解を恐れずに言うと、ワールドはもはやアパレル企業ではない。これまで30年間築き上げてきたSPAのノウハウにさらに磨きをかけながら、小売産業全体を元気にできるよう、多くの企業さまを支援していきたい」(同)。

ホテル、スイーツ、レストラン…もはやアパレルではない「ワールド」 門外不出のSPAプラットフォームを開放した真意とは?
(画像=プラットフォーム事業推進室の飯田 恭一室長、『DCSオンライン』より引用)

グランピング施設、道の駅、スポーツジム…。リアルな顧客体験が生まれる「場」であれば、ワールドのSPAノウハウを横展開できる可能性は大きい。同社のプラットフォーム事業は、今後もさらなる広がりが期待できそうだ。

提供元・DCSオンライン

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