
いきなり!ステーキを展開するペッパーフードサービスの代表取締役社長の一瀬邦夫さんによる「作業するだけで給料をもらえると思うのは大間違い」発言がネット上で波紋・批判を受けている件、その後編です。

一瀬邦夫さん。1942年10月2日生まれの御年79歳。
彼の発言を見ていると、本当に素晴らしいなあと思うことが多いのです。まず64歳にして株式上場、
「従業員の夢の実現、幸福を追求」
「従業員に挑戦の場を提供できるように店舗展開しようと思いました」
こういった言葉、ほんと大変勉強になります。
また、大量閉店時に、直筆でのメッセージも賛否はありましたが、メッセージとして心を打つ面もあります。全体的に、顧客があってのビジネスであることを徹底的に追及・志向するところはさすがの一言です。
しかし、いきなり!ステーキさんで掲げる「クレーム0憲章」のある1つの文章には驚愕してしまいました。
クレームゼロ・・・って
「クレーム0憲章」の中の2として「お客様の言い分に、言い訳、口答えをしてはいけない。お詫びが優先です」と掲げているのです。この姿勢を貫いた行動をしていたら、カスタマー・ハラスメントはなくなりません。

カスタマー・ハラスメントとは、顧客から受ける嫌がらせや、過度なクレームのことを指します。
たしかにクレーム0憲章は経営哲学から導き出されたものであり、2以外はとっても素晴らしいものです。「クレームゼロ」というのは現場の目標・方向性としては正しいかもしれませんが、「お客様の言い分に、言い訳、口答えをしてはいけない。お詫びが優先です」というのは厳しすぎます。
カスタマー・ハラスメントの被害にあいなさい、と言っているのと同意味で、ブラックと言われてしまう余地を残してしまいます。
モンスタークレーマーはいる!
個人的には、クレームはクレームをいうお客様にも問題があるだろうと思っています。その構造を以下に図解しましたが、寂しい、孤独な消費者は、期待水準に満たないことが起きると、お客様は神様という言葉を真に受け・勘違いをして、クレーマーに成長していってしまいます。
勘違いが心を支配してしまうと、本来持っていたはずの「相手がビジネスと展開・店を提供してくれるから、自分がものを購入できる、そのことに感謝しよう!」という思考が、どこかにいってしまいます。商売・ビジネスはお互い様なのに、「お客様は神様」という姿勢がお客様を増長させてしまうのです。
モンスタークレーマーの方はかわいそうだとは思いますし、あー色々疲れたり辛いんだなあ~と思ってしまいますが、当たる先が違うなあと思い、悲しくなります。「それ言いすぎだろ」というセンサーが働かなくなった時点でこの社会から孤立している被害者かもしれません。

いきなりクレームケーススタディのすすめ
他方、クレーマーにビビりまくっている小売店のスタッフを会社が守ってあげる、もっと優しくしてあげたらと考えます。クレーム対応でお客様を神様として過剰に対応しているスタッフを見ると、僕は「大変ですね~」と声をかけるようにしています。
クレームが発生するのは様々な要因がありますし、すべてが全てレストラン側のスタッフのミスではないはずです。そこには様々な事象や感情が絡み合った事情があるはずです。相手との相性もあります。スタッフにも色々事情があったのではないでしょうか。クレームの事例分析・ケーススタディをしてみればいかがでしょうかと思います。

クレーム対応にスタッフも経営層も疲弊している状況でしたら、とっとと配膳ロボットを導入し、おいしい肉にこだわっていただきたいと是非ともと思います。
ピンチはチャンス。いきなり!ステーキのいきなりお客様対応の改善と業績回復に期待したいところです。
文・西村 健/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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