1月25、26日に連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、その結果報告が1月27日にFRB(連邦準備制度理事会)によってなされた。結論から言えば、オミクロン株による感染急拡大の現状では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標0.00〜0.25%の現状維持と毎月300億ドルの資産購入の減額(米国債200億円ドル、MBS100億ドル)維持(テーパリング)を表明したにとどまった。要するにまたしても「現状維持」なのである。次回のFOMCは3月15、16日開催だが、テーパリング終了が3月上旬であることから3月17日にはいよいよ利上げ発表の段取りになるのではないかと見られている。
とにかく、2カ月ごとに開かれるこのFOMCでいつ利上げが発表になるのかが注目されているわけだが、今回も「空振り」である。このFRBのパウエル議長(1953年2月4日生まれ)は、本名ジェローム・ハイデン・“ジェイ“・パウエルという長たらしい名前なのだが、どうにも優柔不断であるばかりか、「狼少年」の嫌いがあるのではないだろうか?パウエルをFBR議長に任命(2018年2月)したのはドナルド・トランプ前大統領である。このためその4年後の今年は交代するのではと見られていたが、再任。また、2020年10月に保有する株式投資信託500万ドル(5億7000万円)を売却していたのが一時問題になっていた。株価下落前のナイス・タイミングだったのだ。そして「金利は上がるかもしれませんよ!?」と言い続けている。株価上昇率が目標(インフレターゲット)である2%をはるかに超えるインフレ状況であるにもかかわらず「今回も見送りです。しかし3月こそFF金利は上げるかもです」なのである。
このパウエル声明を受けて、NY株式市場は猛反騰している。NYダウ平均のその後の5日間は:
1月28日:+564.39(+1.65%) 終値3万4725ドル
1月31日:+406.39(+1.17%) 終値3万5131ドル
2月1日:+273.38(+0.78%) 終値3万5405ドル
2月2日:+224.09(+0.63%) 終値3万5629ドル
2月3日:-518.17(-1.45%) 終値3万5111ドル
さすがに4連騰の後の2月3日は下げたが、簡単に言って3月15、16日のFOMCまでに、儲けておこうという露骨な売買が始まったのである。こういう「危ない橋」は、少なくとも素人が出る場面はないので読者にはくれぐれも御注意申し上げたい。
参考までにNYダウ平均の目安を書いておくと、史上最高値は、1月4日に記録した3万6930ドルである。3万7000ドルまで後1歩手前だった。簡単にいえば、3万4000ドルと3万7000ドルの間を上下動していると考えておけばよい。
一方、NYダウに完全に追随している日経平均については、その目安は以下の通り。昨年9月13日の3万795円が30年ぶりの高値として話題になった。その後の安値は、1月27日の2万6044円だ。日経平均は2万6000円から3万1000円のレンジで上下動している。こちらはNYダウ平均に比べてかなり上下動の幅が広い。いずれにしても、上述したように「狼少年パウエル」に従えば、2月の上昇相場は約束されたわけで、注目は次回3月15、16日のFOMC後の3月17日のFRBの発表ということになろう。いずれにしても、素人がウロチョロする場面ではない。
日本のバブル経済が崩壊し、1990年に株バブルが終わったのは、金利の上昇と総量規制(土地購入関連融資の制限)が原因だった。今回、インフレが急激に進行しているのに、米国金利が上昇しないのは、オミクロン株による感染再拡大&経済悪化を懸念しているためだ。感染が収束したとき、金利は上がり、株バブルは終焉するというシナリオに変更はない。
文・三浦彰/提供元・SEVENTIE TWO
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