韓国大統領選と日韓関係
ほぼ一月後の3月9日に韓国で大統領選があります。候補者は与党の李在明氏と野党の尹錫悦氏の実質一騎打ちとなっています。ひと月ほど前、尹錫悦氏が身内の問題で支持率を大きく下げ、李在明氏で決まりかと思ったのですが、尹候補の強烈な巻き返しとなり、一部の世論調査では逆転しています。(聯合ニュース2月4日版で尹氏46%、李氏38%。)俯瞰すると今の韓国政治は対北朝鮮政策と中国政策で詰まっているように感じます。
世論調査では韓国若者の嫌中が急速に増える中、尹氏が対中国への強硬姿勢を見せています。また第三の候補である安哲秀候補は大統領選挙のたびに「カギを握る男」とされながらもいつもそのカギを有効活用できませんでした。その安氏は対日関係見直しを述べており、尹氏、安氏ともに保守系として日本とは関係見直しの機運が出来ます。韓国の世論の不安定さからすると保守が一気に巻き返す可能性は再び出てきたとみています。
日韓関係も時代ごとによくなったり悪くなったりしますが、安倍政権時代が最悪だとすれば潜在的には良くなる公算はあります。
ただ、最大の難関は日本側のハードボールとされ、特に政府ベースでの交渉が厳しいとされます。韓国は地政学的にアライアンスを結ぶところがなく、仮に中国との距離感がでれば北朝鮮とも疎遠、日本は相手にせずでアメリカが遠隔的に支援しているのみという懐の寒さがあります。
政治と世論でふらつきのある韓国は大統領選の結果次第でオセロゲームのように大転換することもあり得る気がしてきました。時の風が隙間からぴゅーっと入ってきて状況次第では雪解けがあるかもしれないとも思っています。
後記
石原慎太郎氏がお亡くなりになりました。癖の強い方でした。私は秘書の時、当時、国会議員だった石原先生が会長に会いに会社に来る際、石原事務所から「石原は普通のタクシーで御社に向かって青山通りで降りるはずですのであとはよろしく」と連絡が来ました。急いで通りで待ち構えるとタクシーが一台止まり、長身の石原先生が一人降り立ち、「やぁ」と言って200メートルほど雑踏を一緒に歩き、雑談をしたことがあります。ほんの5分ぐらいの二人だけの接点でしたが強烈な印象でした。
石原氏の「日本を護る」という信念はその時、感じ取ったのかもしれません。私があの5分間の興奮を忘れることはないでしょう。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年2月5日の記事より転載させていただきました。
文・岡本 裕明/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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