昭和50年代の日本は、オイルショックの影響を受け、それまでの高度成長期から、経済的に大きな減速をした時代でした。政府は公害対策に乗り出し、人々は暮らしに経済性を求めるようになり、生活のなかにおけるクルマのあり方にも大きな変化が見られました。今回は、そんな昭和50年代に登場して話題となったクルマを5台ピックアップしてみました。
文・立花義人
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①マツダ ファミリア(5代目)
②スズキ アルト(初代)
③トヨタ ソアラ(初代)
④日産 ブルーバード(6代目)
⑤ホンダ シビック CVCC(初代)
①マツダ ファミリア(5代目)
小型車から始まった世界的なFF化の波が押し寄せるなか、FRの大衆車として販売されていたマツダ ファミリアが、昭和55年(1980年)に5代目へとモデルチェンジしました。
サスペンションは新開発の4輪ストラットを基本とし、前輪にはネガティブキャンバーオフセット、後輪にはコーナリングの際に台形リンクがトーアウトを打ち消すSSサスペンションを採用し、簡潔な構造ながら、抜群の操縦安定性とスポーティな走りを実現していました。
さらに、ウエッジの利いたデザインと大きなガラス面積を持つスポーティなフォルム。充実した装備と快適性。そしてイメージカラーの赤は若い世代に人気となり、生産開始から27ヶ月で100万台のセールスを記録。記念すべき第1回日本カー・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。
とはいえ、なによりも5代目ファミリアを象徴するのは、赤いボディカラーの3ドアハッチバックです。巷のサーフィンブームと同時並行で、ファミリア ハッチバックが若者に流行すると、サーフボードをルーフキャリアにボルトで固定させた赤いファミリアに乗る「陸(おか)サーファー」が誕生。社会現象にもなったのです。
②スズキ アルト(初代)
昭和50年代の軽自動車には、15%を上回る物品税が課されていました。このときスズキは、商用車であれば非課税となることに着目、軽自動車市場に一石を投じる新型車を開発します。
そこから導き出されたコンセプトは、「2人乗りの軽ボンネットバン」というもので、買い物や子供の送り迎えなどに自動車を使う主婦層がターゲットとなりました。
当時の一般的な軽自動車価格は60万円程度、さらに物品税が課税されていました。そんななか、スズキはアルトを新車価格45万円とする目標で開発します。
徹底的なコストダウンと原価の見直しが開発陣に命じられ、結果的に物品税が非課税で、かつ普段使いに便利な軽自動車が47万円、という衝撃の価格で、昭和54年(1979年)に発売されることとなりました。
アルトはこの価格を実現するため、助手席の鍵穴を省略したり、ウィンドウォッシャーを手動ポンプ式にしたりと、コストを抑えるための工夫を各所に取り入れていました。
③トヨタ ソアラ(初代)
初代ソアラの開発は、昭和51年(1976年)に始まりました。当時、小型の日本車は、海外において高い評価を得ていましたが、高級車に関しては良い評価を得られていませんでした。そこでトヨタは、世界レベルで通用する高級GTカーの開発に着手、昭和56年(1981年)にソアラを発売しました。
ソアラは全グレードにDOHCの6気筒エンジンを搭載。上級グレードには、クルーズコントロールや、当時流行した音声警告機能、タッチパネルで操作できるマイコン式オートエアコンやドライブコンピューターなども用意されるなど、当時の先端技術を積極的に取り入れ、高級パーソナルクーペ市場におけるイメージリーダーとなりました。
④日産 ブルーバード(6代目)
大衆車として高い支持を受け、アメリカでも大ヒットを記録したブルーバードですが、4、5代目では排ガス規制の影響もあり、その人気に陰りが見え始めました。
そこで、日産は原点回帰とも言える直線基調のシャープなスタイリングと、新開発した技術を融合させ、昭和54年(1979年)に誕生したのが、6代目ブルーバード(910型)です。
エンジンは直列4気筒のZ型、2.0Lモデルにはディーゼルエンジンも用意されました。翌年にはターボエンジン搭載のSSSが追加され、直線を基調としたダッシュボードに、メーター類が並ぶ姿は、ドライバー達を高揚させました。
広告のイメージキャラクターとして沢田研二が起用され、「ザ・スーパースター」「ブルーバード、お前の時代だ」というキャッチコピーが大好評となり、910型は大ヒットを記録しました。
⑤ホンダ シビック CVCC(初代)
アメリカのマスキー法という排気ガス規制法が1970年に発効、世界一厳しく、パスすることは不可能とまで言われたこの規制値を初めてクリアしたのが、ホンダが開発したCVCC(複合渦流調整燃焼方式)エンジンでした。
このエンジンは、昭和47年(1972年)に発売されたシビックの4ドアモデルに搭載され、昭和48年にデビュー。昭和50年には、全グレードCVCCエンジン搭載となっています。
もともとホンダの世界戦略を担う基幹車として開発されたシビックは、オイルショックを背景に世界的な大ヒットを記録し、クラウンやスカイラインに乗っていたユーザーがシビックに乗り換える、という現象を引き起こすほどの人気となりました。
今回、取り上げた以外にも、マツダ サバンナ RX-7やトヨタ セリカXX、いすゞ ピアッツァ、三菱 パジェロなど、個性的で魅力のあるクルマが数多く誕生したのが昭和50年代でした。
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文・立花義人
フリーライター。5歳の頃に自動車図鑑で見たアルファロメオのデザインに衝撃を受け、以降クルマに魅了される。様々なクルマの個性を知りたいと考え、免許取得後国産・輸入車問わず20台以上を乗り継ぐ。車検整備を取り扱う企業に勤務していた際、メンテナンスや整備に関する技術や知識を学ぶ。趣味はドライブ、食べ歩き。現在の愛車はパサート・ヴァリアント。
提供元・CarMe
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