韓国が来年度2月1日に世界最大規模の多国間自由貿易協定(FTA)の「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」を発効する。日本、中国、オーストラリアなど、競争国より1ヶ月遅れの発効となる。また、RCEPより自由化水準の高い「環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)」に関しては、農畜産業界の反対で加入申請の手続きすらされていない。世界各国の貿易拡張のための競争が激化している中、韓国の多国間FTA加入停滞による貿易競争力の弱化が懸念されている。韓国メディア「韓国経済」が報じた。
韓国の産業通商資源部の12月6日の発表によると、ASEAN(東南アジア諸国連合)事務局は12月3日、韓国に「60日後の来年度2月1日に韓国に対してRCEPが発効される予定」と通報した。韓国政府は12月1日の国会で採決の手続きを済ませたRCEP批准書を二日後の12月3日にASEAN事務局に寄託し、その当日に発行日を通報された。
RCEPはASEANの10カ国に加え、韓国、中国、日本、オーストラリア、ニュージーランドが加入した、計15カ国の多国間FTAである。RCEP加入国の貿易規模は世界全体の貿易規模の31.9%である約5兆6000億ドル(約640兆円)である。また、加入国の人口数は世界人口の29.7%である22億7000万人にも達する。昨年度の韓国とRCEP加入国との貿易規模は4840億ドルで、韓国の貿易総額の49.4%であった。
韓国は既に日本を除く14カ国のRCEP加入国とFTAを締結している。しかし、今回のRCEP加入は、日本とのFTA締結効果のみならず、アジア諸国との統一された貿易規範を確立することで、韓国企業により自由な貿易機会を提供したという点に意義がある。ただ、国内での批准手続きが遅れたことで、日本を含む10カ国は来年度1月からRCEP が発効されることに対し、韓国でのRCEP 発効は1ヶ月遅れた2月になる。産業通商資源部のある関係者は、「発効が1ヶ月遅れたことによる国内産業への相対的損害は、そこまで大きくないと予想される」と述べた。
RCEPの発効が目前となっている一方で、CPTPPへの加入手続きは停滞している。CPTPPは原則、農業を含む全ての貿易商品の関税を100%撤廃する必要があるため、農業業界の反発が強い。そのため、政府が来年度の大統領選挙を意識し、CPTPPへの加入を積極的に推進していないという指摘も各界から挙がっている。政府の関係者は、「CPTPP加入によって得られる国益の方が遥かに大きいため、利害関係の調整に最善を尽くしている」と述べた。
参考記事:韓国産業部、中国に「韓国企業への電力供給・原材料安定化」協力要請
参考記事:韓国とインドネシアがEPA締結…RCEP以上の撤廃率で自由化へ
参考記事:韓国-中米自由貿易協定が発効
提供元・コリア・エレクトロニクス
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