世界の国々にはそれぞれ、自慢できるような凄い自然が存在します。
最も多くの湖をもつのはカナダであり、その数は驚異の87万9000個です。
またコロンビアの年間雨量は3240mm(3m以上)となっており、日本の倍近い雨が降ることで知られています。
では島については、どの国が一番多いのでしょうか?
そんな疑問に答える研究が過去に行われていたようです。
それによれば、第1位の国が持つ島の数はなんと22万1800個にもおよぶとのこと。
一体どうしてそんなにも多くの島があるのでしょうか?
研究の詳細は、科学雑誌『GeografiskaAnnaler:Series B、Human Geography』に掲載されています。
1位から3位までを北欧の国が独占!
世界で最も島を多く持つ国はどこか?
第1位はスウェーデンです。
過去の調査によると、スウェーデンには25平方メートル(7.56坪)を超える島が22万1800個あるという。
また、第2位はフィンランドの18万8000個、そして第3位はノルウェーの5万5000個となっています。
すでにお気づきかもしれませんが、これら3カ国はすべて北欧です。
しかし、どうして北欧の国々はこんなにも多くの島を持つのでしょうか?
研究者たちによると、原因は第1に氷河、第2に地殻であるとのこと。
およそ7万年前から1万年前まで続いた最終氷河期時代、北欧の3カ国は分厚い氷河の下にありました。
この氷河には大地を削る力があります。
氷河は積もった場所で不動のままではなく、時間とともにゆっくり移動し、大地を削りとっていくのです。
この削りはフィヨルドのような山脈に対してだけでなく、平坦な土地に対しても発生しました。
平坦な土地に「削り」が起きた場合、堅い場所は残り、柔らかい場所が抉(えぐ)られていきます。
そのため氷河が消えると、平坦な土地には無数の小山や岩が出現し始めます。
そして、このような地形が海面上昇によって適度に水面下に沈んだ結果、無数の小島が出現することになったのです。
つまり、北欧諸国が多くの島をもつのは、氷河の削り残しが最大の原因と言えるでしょう。
ですが、小島が出現する最適な海面位置は溶けた氷だけでなく、その下側、つまり北欧諸国の地殻にも原因があったのです。
小島が数多く出現する海水面になったもう1つの理由
話は戻って氷河時代。
北欧諸国には「キロメートルの高さ」におよぶ分厚い氷河がたまっていました。
この分厚い氷河は、北欧諸国がのった地殻を沈ませるほどだったと考えられています。
ですが地球が温かくなるにつれて、この分厚い氷河は溶けだし、押さえつけられていた地殻は「跳ね返り」を起こします。
(※静水圧平衡と呼ばれる現象です)
この「跳ね返り」現象は現在も続いており、フィンランドのグヴァルケン諸島では、毎年1平方キロメートルもの新たな台地が水面下から出現しているとされています。
また、地殻の下にあるマントルの温度が高いため、「跳ね返り」の速度がさらに増しているとも報告されています。
この活発な地殻の上昇こそが、現在の地球において北欧諸国に多数の小島が出現している理由となっています。
つまり、現在の北欧諸国に他を圧倒する小島がある理由は、氷河による削り残しによって無数のデコボコが出現したのが1つ。
それから、氷河期の終わりによる海面の押し上げと、地殻の「跳ね返り」による海面の押し下げが絶妙なバランスにある「時期」だから、というのがもう1つの理由と言えるでしょう。
今後、地殻の「跳ね返り」と温暖化による「海面上昇」のどちらかが優勢になれば、この危ういバランスは崩壊してしまうでしょう。
北欧諸国に生じた無数の小島がある風景は、地球全体の歴史から見れば、ほんの一瞬に過ぎないのかもしれません。
参考文献
Which country has the most islands?
元論文
Fact Sheet: The Islands of Sweden
提供元・ナゾロジー
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