「NTTグループカード」は通信料金と連動した独自のキャッシュバックの仕組みや、ガソリン代のキャッシュバックなど、他のカードにない特徴を持つ。年会費を無料にする方法や充実したショッピング保険など、NTTグループのサービスのユーザーにとってお得なこのカードを徹底解説する。

目次
1,「NTTグループカード」の3つのポイント
2,「NTTグループカード」の基本スペックと審査基準
3,ポイントサービス、還元率 キャッシュバックがお得!
4,メリット1,出光でガソリン等がリッターあたり最大40円お得に
5,メリット2,4種のショッピング関連保険が付帯
6,メリット3,ホテルや人気レジャー施設などで各種優待を利用
7,メリット4,便利なカード払い取り次ぎサービス
8,「NTTグループカード」3つのデメリット
9,「NTTグループカード」はどんな人におすすめなのか?

1,「NTTグループカード」の3つのポイント

NTTグループのNTTファイナンスが発行する「NTTグループカード」は、どういうカードなのか?このカードを理解する上で、押さえておくべきポイントは以下の3つだ。

  • クレジット利用金額に応じてNTTグループ通信料金のキャッシュバックがある
  • 出光でガソリンが1リットルあたり最大40円お得に
  • カード年会費実質無料で4種のショッピング関連保険が付帯

    基本スペックやキャッシュバック率、付帯保険の詳細など、「NTTグループカード」の一般カードの詳細を解説していこう。

2,「NTTグループカード」の基本スペックと審査基準

まず知っておきたいのは、基本スペックと審査基準だ。

「NTTグループカード」の基本スペック――年会費無料も簡単

国際ブランド Visa/Mastercard
年会費 1,200円(税別)
Web明細サービス登録で無料
ポイントサービス おまとめキャッシュバックコース/
ポイント・プレゼントコース
通常ポイント還元率 約0.6%
(ポイント・プレゼントコース)
ポイント交換対象 Tポイント
JALマイル
Amazonギフト券 など
空港ラウンジサービス なし
付帯保険 オンラインショッピング安心サービス
お買物安心補償サービス
ネット予約キャンセル補償サービス
倍増TOWN安心サービス
追加カード 家族カード
ETCカード

通常年会費は1,200円(税別)だが、「Web明細サービス」に登録すると無料になる。これは、利用明細書を郵送する代わりに、会員専用ウェブサービス「MyLink」で利用明細を確認できるサービスだ。それ以外の条件は求められないので、年会費は実質無料と考えていいだろう。

「NTTグループカード」の審査基準――年収200万円以上が目安

「NTTグループカード」の公式サイトには申し込み資格として、「満18歳以上(高校生除く)で、ご本人または配偶者に安定した継続収入のある方、または学生の方」とある。これは審査基準そのものではないが、審査においても勤続年数が重視されると考えていいだろう。一般的には、1年以上の勤続年数が求められる。

ネットの口コミ情報になってしまうが、年収は200万円以上なら審査に通る可能性が高いようだ。ただし年齢が若ければ、それ以下の年収でも審査に通ることがあるという。銀行系や信販系のクレジットカードとは違い、顧客(この場合はNTTグループの利用者)の囲い込みも目的としているため、年収条件はそこまで厳しくないと推測される。

ただし、過去にクレジットカードやカードローンの支払い、携帯電話端末代金の分割払いなどで延滞があり、クレジットヒストリーに傷があると審査に通りにくくなる。このカードでは、NTTグループの利用代金の延滞などもマイナス材料になるだろう。

3,「NTTグループカード」のポイントサービス、還元率 キャッシュバックがお得

クレジットカード選びで重視されるのが、還元率などを含めたポイントサービスだ。

「NTTグループカード」では、以下の2コースのどちらかを選ぶ仕組みになっている。

  • 「おまとめキャッシュバックコース」……クレジット利用金額とNTTグループの通信料金に応じてキャッシュバックを受けられる
  • 「ポイント・プレゼントコース」……クレジット利用金額に応じて賞品や他社ポイント、マイルなどに交換できるポイントが付与される

    前者はこのカード独自の仕組みで、後者は一般的なクレジットカードのポイントサービスと同様と考えればいいだろう。コースは入会時に選ぶことになるが、コースの変更はいつでもできる。ここからは、各サービスの詳細を見ていこう。

「おまとめキャッシュバックコース」の詳細――対象や割合、計算方法など

キャッシュバックの対象となるのは、このカードで決済するNTTグループ各社の通信料金の合計額(上限1万5,000円)。それに所定のキャッシュバック率(最大60%)をかけたものが、実際のキャッシュバック額となる。キャッシュバックは、カード利用代金の請求額から差し引く形で行われる。

・キャッシュバック対象料金
キャッシュバック対象となる料金は、以下のとおりだ。
 

会社名 キャッシュバック対象料金
NTT東日本・NTT西日本 加入電話、フレッツ・サービス、
ひかり電話などの基本料、通話・通信料など
NTTドコモ Xiサービス、FOMAサービス、
パケット通信サービス、衛星電話サービス
(船舶電話を除く)
NTTコミュニケーションズ プロバイダー(OCN)料金、
NTTコミュニケーションズ利用分の電話料金
(県間・国際通話料金)など
NTT-ME プロバイダー(WAKWAK)料金など
NTTぷらら プロバイダー(ぷらら)料金、
ひかりTV料金など
スカパーJSAT スカパー視聴料など
NTTファイナンスおまとめ請求 NTT東日本・NTT西日本、NTTドコモ、
NTTコミュニケーションズの請求を
1つにまとめるサービス

・キャッシュバックの還元率
キャッシュバックの還元率は、月間カード利用金額(出光キャッシュバックシステム利用分、キャッシングリボ、海外キャッシングなどを除く)に応じて決まる。月間カード利用金額とキャッシュバック率は、以下のとおり。

月間カード利用金額 キャッシュバック率
0~2万円未満 0%
2~4万円未満 1.5%
4~6万円未満 3.0%
6~8万円未満 4.5%
8~10万円未満 6.0%
10~20万円未満 8.0%
20~30万円未満 18.0%
30~40万円未満 28.0%
40~50万円未満 38.0%
50~60万円未満 50.0%
60万円以上 60.0%

月間カード利用金額が多いほど、キャッシュバック率が高くなることがわかる。

・月間キャッシュバック額の計算法
固定電話、携帯電話、ネット回線、プロバイダーなど、NTTグループで複数のサービスを利用していれば、それだけで1万5,000円の上限に達するはずだ。また、クレジット決済できるものをなるべくカードで支払うようにすれば、月間のカード利用額は「10~20万円未満」の枠には入るだろう。

この場合、月間のキャッシュバック額は1万5,000円×8%=1,200円、年間では1万4,400円になる。

仮に月のカード利用額が平均15万円で、還元率0.5%の一般的なクレジットカードを利用していると還元率では月に750円相当、年間では9,000円相当のポイント還元となる。NTTグループの複数サービスを利用しているなら、この「おまとめキャッシュバックコース」はかなりお得と言える。

・ポイントモール「倍増TOWN」でさらにキャッシュバック
このコースでは、通常のクレジット決済ではキャッシュバックはされない。しかし、ポイントモール「倍増TOWN」を経由したショッピング分については、1ポイント→0.5円のレートでキャッシュバックができるポイントが付与される。なお、ポイント倍率はショップによって異なる。

「ポイント・プレゼントコース」の詳細――通常0.5%、電子マネーのチャージ分も付与対象

「ポイント・プレゼントコース」を選ぶと、一般的なクレジットカードでよく見られるようなポイントサービスを利用することになる。

・ポイント還元率 
ショッピング利用額1,000円につき10ポイント(約6円相当)、NTT東日本・NTT西日本、NTTドコモ、NTTコミュニケーションズ、NTTファイナンスおまとめ請求の利用額200円につき2ポイント(約1.2円相当)が貯まる。ポイント還元率は約0.6%と考えていいだろう。ポイントの有効期限は、獲得月より2年間だ。

このカードでは楽天Edy、モバイルSuica、SMART ICOCAへのチャージができ、そのチャージ分にもポイントが付与される。

・ポイントの交換対象
ポイントは賞品に交換できるほか、各社ギフト券、他社ポイント、マイルなどに交換することもできる。また、キャッシュバックもできる。交換対象にもよるが、おおよそ1ポイント→0.4円~0.6円相当のレートだ。交換対象を一部抜粋して紹介する。
 

交換対象 交換対象ポイント数・金額 必要ポイント数
Amazonギフト券 2,000円分 5,000P
nanacoギフトID
App Store&iTunesギフトカード
EdyギフトID
dポイント 3,000P 5,000P
JRキューポ(SUGOCA)
Tポイント 2,000P 5,000P
Pontaポイント
スターバックス カード(チャージ) 3,000円 6,000P
JALマイル 1,000マイル 4,000P
ANAマイル 800マイル 4,000P
ちょコム 2,000P 4,000P
VJAギフトカード 6,000円分 1万1,000P
図書カードNEXT 2,000円分 7,000P
QUOカード
キャッシュバック 6,000円分 1万P

なお、ギフト券の額面は上記よりも高額のものもあり、その金額が大きいほど交換レートがお得になる(最大で約0.66%)。

・ポイントアップ還元率をアップする方法
通常のポイント以外にポイントを得る方法は、以下の3つだ。

1,獲得ポイントごとにボーナスポイント
年間獲得ポイント数が5,000ポイントを達成するごとに、ボーナスポイントとして500ポイントがプレゼントされる。

2,ポイントモール「倍増TOWN」を使う
カード会員専用のポイントモール「倍増TOWN」を経由してネットショップを利用すると、2倍~最大26倍のポイントを獲得できる。ポイント倍率はショップによって異なるが、楽天市場、Yahoo!ショッピング、イトーヨーカドーネット通販、じゃらん、HISオンライン予約、JTBなど多くのショップが軒を連ねる。

3,キャンペーンを利用
随時行われているキャンペーンを活用すると、多くのポイントをまとめて獲得できることがある。

たとえば、2020年9月30日までにカードを申し込んだ会員向けのキャンペーンでは、携帯電話料金、電気・ガス、新聞、保険、ケーブルテレビ・衛星放送などの利用料金をクレジット決済にすることで、1社につき1,000ポイントがプレゼントされる。さらに、このキャンペーンでは入会後3ヵ月間はポイントが2倍になる(期間中の上限5,000ポイント)。

4,「NTTグループカード」のメリット1,出光でガソリンが1リットルあたり最大40円お得に

このクレジットカードには、「出光キャッシュバックシステム」という優待がある。これは全国の出光サービスステーションのクレジット利用代金に応じて、キャッシュバックを受けられる仕組みで、ガソリンが最大で1リットルあたり40円お得になる。

優待同様、キャッシュバックの仕組みも独特だ。

  • 1,000円以上1万円未満の場合、一律1ポイントが付与
  • 1万円以上では1,000円につき0.1ポイントの付与

    このポイント数に金額が掛けて、

  • ガソリン(出光ゼアス・出光スーパーゼアス)でポイント数×2円
  • 軽油(出光軽油)でポイント数×1円

    が1リットルあたりのキャッシュバック額となる。なお、このポイントは毎月のクレジット利用合計額に対して付与されるポイントとは異なる。ガソリンと軽油のキャッシュバック額の目安は、以下のとおり。たくさんガソリンを使う人ほど、お得になることがわかる。
     

出光での
1ヵ月の利用額
獲得ポイント数 ガソリンの
キャッシュバック額
軽油の
キャッシュバック額
20万円の場合 20ポイント 40円/L 20円/L
10万円の場合 10ポイント 20円/L 10円/L
5万円の場合 5ポイント 10円/L 5円/L
2万円の場合 2ポイント 4円/L 2円/L
1,000円以上1万円未満 1ポイント 2円/L 1円/L

5,「NTTグループカード」のメリット2,ショッピング関連の4種の保険が付帯

このような独特なポイントシステムを持つ「NTTグループカード」には、旅行傷害保険が付帯しない。その代わり、4種類のショッピング関連の保険・補償が付帯する。

保険1,オンラインショッピング安心サービス(動産総合保険)

オンラインショッピングで購入した商品の破損・盗難・火災などによる損害が対象。購入から90日間、年間100万円を限度として補償される(自己負担額:1回の事故につき1万円)。

保険2,お買物安心補償サービス(動産総合保険)

リボ払いまたは3回以上の分割払いで購入した商品が対象。破損・盗難・火災などによる損害が、購入から90日間、年間100万円を限度として補償される(自己負担額:1回の事故につき1万円)。

「オンラインショッピング安心サービス」と「お買物安心補償サービス」は、合わせて年間100万円が限度となる。

保険3,ネット予約キャンセル補償サービス

ネットで予約した旅行などを対象とした保険。所定の理由でキャンセルした場合に、発生したキャンセル料金が補償される。補償が適用されるキャンセルの理由には、本人や家族、親族の死亡・入院、あるいは、本人や家族のケガによる通院などがある。年間の補償限度額は5万円(通院が理由の場合の限度額は1万5,000円)。

補償金額はさほど大きくはないものの、ゴールドカードでも付帯することの少ないネット予約キャンセル保険は、それ自体が大きなメリットと言える。

保険4,倍増TOWN安心サービス

同カードのネットサービス「MyLink」のID・パスワードの盗用により、ポイントモール「倍増TOWN」でカード番号を不正利用された場合、その損害額が年間30万円まで補償される保険(「倍増TOWN」の詳細は後述)。

すべてのショッピングに保険が付帯するわけではないが、オンラインショッピングでのカード利用が中心なら、年会費実質無料のカードとしては好条件の保険と言っていいだろう。

6,「NTTグループカード」のメリット3,旅行関連の優待・サービスが充実している

「NTTグループカード」では、国際ブランド(Visa/Mastercard)が提供する優待の他、カード会社が提供するものも利用できる。これには、ホテルやレンタカーなど旅に関係したものが多い。

3つのトラベル優待――ツアー料金優待、お土産宅配など

1,ツアー優待サービス
「リロの旅デスク」で各社のツアーを申し込むと、国内ツアーで最大5%オフ、海外ツアーで最大8%オフになる。

2,三洋堂 海外お土産予約宅配システム優待サービス
海外旅行のお土産をカタログから選んで宅配してもらえるサービスが、全商品20%オフになる。ポイントモール「倍増TOWN」経由で購入すると、ポイントも倍増する。

3,ホテル関係の優待
ホテルやホテルグループ関連施設を優待料金で利用できる。優待対象施設は、以下のとおり。
 

対象ホテルなど 優待内容
富士屋ホテルチェーン(国内) ベストレート
(最低価格保証)料金からさらに5%オフ
レストランは定価の5%オフ(一部10%オフ)
日帰り温泉・ゴルフコースが特別設定料金に
藤田観光ホテル・レジャー施設
(箱根小涌園 天悠、伊東小涌園、
ホテル椿山荘東京、
箱根小涌園ユネッサン、
下田海中水族館など)
各施設を優待料金で利用できる
ホテル阪神 客室20%オフ
ザ・リッツ・カールトン大阪 客室10%オフ

2つのクルマ関係の優待――レンタカーやパーキングなど

1,国内レンタカー優待サービス
ニッポンレンタカーの基本料金が、約5%オフになる。

2,サンパーキング優待サービス
成田空港・羽田空港の駐車場(サンパーキング)の料金が30%オフになる。

2つのレジャー系優待――人気の施設も割引に

1,スパリゾートハワイアンズ優待サービス
スパリゾートハワイアンズで入場10%オフ、宿泊10%オフなどの優待価格が適用される。

2,富士急グループ優待サービス
富士急ハイランドなど、富士急グループの遊園地・ホテル・ゴルフ場・スキー場などで優待料金が適用される。

7,「NTTグループカード」のメリット4,「カード払い取り次ぎサービス」が便利

そのほか、「NTTグループカード」ならではの特徴的なサービスに「カード払い取り次ぎサービス」がある。

通常、公共料金や電話料金などクレジットカードで支払うには、支払い先でカード番号などの登録が必要だ。電気、ガス、通信料金など何社もあると、かなり手間がかかる。「カード払い取り次ぎサービス」では、NTTグループへの支払いに関しては一括で手続きしてくれるので、手間が省ける。

「カード払い取り次ぎサービス」はカードの申し込みと同時に申し込めるので、これといった手間がかからないのも忙しい会社員にとっては、うれしいところ。

8,「NTTグループカード」の3つのデメリット 

年会費が実質無料ということを考えると、特にデメリットとはないと言っていいだろう。しかし、あえて挙げるとすれば、以下の3点には注意してもらいたい。

デメリット1,旅行傷害保険が付帯しない

このカードは、ショッピング関連の保険が充実している代わりに旅行傷害保険が付帯しない。年会費無料のクレジットカードでも旅行傷害保険が付帯するものがあることを考えると、これはデメリットと言えるだろう。

特に海外では非常に高額の医療費がかかることがあるので、旅行傷害保険は必須だ。「NTTグループカード」しか持っていない人が海外旅行に行く際は、旅行傷害保険付きのクレジットカードを別に作るか、別途保険に加入する必要がある。

デメリット2,通常のポイント還元率が高くない

通常のポイント還元率は約0.6%で、高いとは言えない。ただし「おまとめキャッシュバックコース」を選んで、毎月のカード利用額が20万円を超え、NTTグループのサービスの利用月額が1万5,000円を超えるように使うと、年間3万2,400円のキャッシュバックを得られる。ポイント還元率に換算した場合も、かなりお得になることが多い。

デメリット3,NTTグループを利用しない場合はメリットが薄い

「NTTグループカード」はその名のとおり、NTTグループを利用している人にとってメリットの大きいクレジットカードだ。逆に言えば、NTTグループをほとんど利用していない人にとっては、あまりメリットがない。

9,「NTTグループカード」はどんな人におすすめ?

「NTTグループカード」は、基本的にはNTTグループを利用している人が便利でお得に使えるカードと言えるだろう。特に複数のNTTグループのサービスを利用している人は、得られるメリットが大きくなる。

ただし、NTTグループのサービスを利用しなくなるとメリットが薄くなるので、将来NTTグループから他社へ乗り換える可能性があるかどうかが、判断ポイントになる。

「NTTグループカード」はガソリン代がお得になり、ホテルや郊外のレジャー施設の優待も充実していることから、ドライブ好きの人にもおすすめだ。

クレジットカードの申し込みを検討している人は、ぜひ参考にしてもらいたい。

文・モリソウイチロウ(ライター)
 

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