自動車に関する技術は、近年、めざましい発展を遂げています。特に自動運転化を見据えた技術開発は、自動車メーカーだけでなくさまざまな業種が参入し、クルマが社会において、さらに大きな役割を果たすことを目指して行われています。今回は、自動車の技術開発にともなって、近い将来消えてしまうかもしれない技術をいくつか取り上げます。
Chapter
バックミラー(ドアミラー、フェンダーミラー)
ハンドブレーキ(パーキング)
マニュアルトランスミッション(3ペダル)
空気入りタイヤ
V6エンジン
バックミラー(ドアミラー、フェンダーミラー)
2016年に国土交通省は、バックミラー等に代わる「カメラモニタリングシステム」の基準を整備し、保安基準を一部改正することを発表しました。
これにより、自動車メーカーは、従来のようなバックミラーに代わって、カメラとモニターを使用した電子ミラーを備えた自動車を設計、製造することができるようになりました。
デジタルアウターミラーは、フロントドア外側にあるカメラで撮影した車体後方の映像を、車内に設置されたディスプレイに表示するというもので、2018年10月末に発売になるレクサス ESには、ウインカーやリバースギアと連動して表示エリアが自動的に拡大される機能も備わっています。
従来のようなドアミラーが小型のカメラに代わることにより、斜め前方の視界が確保されたり、風切音が低減されること、車内モニター設置によるドライバーの視線移動低減といったメリットが期待されています。
ハンドブレーキ(パーキング)
駐車時に使用するパーキングブレーキ。以前は、運転席と助手席の間にあるハンドレバーを上に引き上げて使用するタイプが主流でしたが、近年では、EPB(電子式パーキングブレーキ)が増えています。
EPBは、電動モーターによってブレーキを作動させる仕組みで、ボタン操作だけで済むことから、力の弱い女性や高齢者でも安心して使用できるというメリットがあります。
なかには、シフトをドライブポジションにすると、自動解除されたり、停止してシフトをパーキングポジションに入れると、自動でパーキングブレーキが作動する車種もあり、パーキングブレーキの外し忘れ、かけ忘れの防止にもなっています。
マニュアルトランスミッション(3ペダル)
1991年にAT限定免許が創設され、MT車を運転する機会のない方の運転免許取得を簡略化。免許取得にかかる費用も節約できることから、AT限定免許を選択する方の割合が増加しています。警察庁が公開している運転免許統計によると、2017年に普通免許を取得したドライバーの6割がAT限定免許でした。
また日本自動車販売協会連合会(自販連)の統計によると、新車で販売される乗用車のおよそ99%がAT車です。販売されているほとんどの車種はATのみの設定となっている場合が多く、一部のスポーツカーやベーシックグレードでMTが選択できるのみとなっています。
地域によって事情は異なりますが、大都市では交通渋滞が起きやすく、MTよりも操作が簡単で疲労を軽減できるATのほうが好まれる傾向がありますし、ATでも燃費性能が飛躍的に向上し、MTの経済的優位性が薄らいだことも背景にあるといえます。
自動運転を実現させるためには、クラッチ操作をオート化あるいはなくす必要があることから、今後この技術開発の進展とともにMTである必要性が減少し、3ペダル式MTはやがて消滅してしまうかもしれません。
空気入りタイヤ
ほとんどのクルマには、空気入りタイヤが使われています。この空気が入っているがために、タイヤはパンクというトラブルをおこします。
それなら、内部に空気の入っていないタイヤを使えば問題解決となりそうですが、すべてゴムで出来ていたり、内部がスポンジのようなもので満たされたタイヤでは、現在の空気入りタイヤのような性能を発揮することができません。
それらは、ゴムのたわみを利用して細かな振動を吸収したり、グリップ力を確保することが難しく、さらに走行中の衝撃を受け続けることで、ひび割れや劣化が早期に進んで、耐久性がいちじるしく低下します。そのため、タイヤにとって空気は非常に重要な役割を果たしてきたというわけです。
しかし2000年代に入ると、各タイヤメーカーはエアレスタイヤの開発に着手。ミシュランは2005年に建機用のエアレスタイヤをリリース、他メーカーでも実用化に向けて準備が進められています。
エアレスタイヤは、その名の通り、空気を充填しないタイヤのことで、トレッド(地面と接触する部分)にはゴムを使い、本来空気を入れていた部分には特殊樹脂でできた多数のスポークを使用することにより、空気入りタイヤと同じ性能を発揮するというものです。
パンクの心配がなく、メンテナンスフリーのタイヤが、自動運転技術の開発とともに注目されています。
V6エンジン
V型6気筒エンジンは、直列式に比べて全長を短くできるため、エンジンルームへの搭載方式に自由度が増すというメリットから、中型・大型クラスの車種を中心に広く採用されてきました。
しかし近年では、低燃費・環境性能向上の観点から、ダウンサイジングターボやハイブリッドによる小排気量高出力ユニットの搭載が主流となってきています。6気筒以上の多気筒エンジンを搭載する場合でも、構造が複雑でコストのかかるV型よりも直列型が見直されてきており、乗用車用としてのV6エンジンを開発するメリットが少なくなっています。
内燃機関エンジンの縮小、廃止の傾向が世界的に強まるなか、V6エンジンは比較的近い将来に消滅してしまうかもしれません。
ここで紹介した以外でも、自動運転化、効率化を目指したテクノロジー開発は急速に進められています。それにより、これまで当たり前のように存在していた技術であっても、新しい技術に取って代わられることがあるでしょう。
文・立花義人/提供元・CarMe
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