新型コロナウイルス感染症の拡大も、どうやら最終局面に近づきつつあるようだ。陽性者数は激増しても重症者の数は限られており、コロナ後の社会が間近に迫っている感を強くする。終息後、増加が予想されるのが海外渡航だ。海外への出張や旅行が事実上の「解禁」になっても、ウィズコロナ下での海外渡航には新たな手続きが必要になる。その一つがコロナワクチン接種証明の提示だ。
21年11月現在、入国時に接種証明が必要な国や地域は全部で76。ほとんどの主要国で提示を求めている。そんな時に便利なのがデジタル庁が昨年リリースしたスマートフォン(スマホ)の「接種証明書アプリ」。これならすぐに証明書が入手できる。マイナンバーカードと、その読み取りができるNFC Type Bに対応したスマホがあれば簡単に証明書を取得できるため、ぜひ活用したい。接種証明には「国内用」と「海外用」の2種類があり、同時に両方発行することができる。当面海外に行く予定がないとしても、パスポートがあれば手続き可能なので、一緒に取得しておくことをお勧めする。私も当面海外に行く予定はないものの、アプリのリリース直後、国内用と海外用を併せて取得した。
ところがある日、証明書を何となく眺めていると、漢字の氏名は正しいがローマ字表記の氏名に綴りの間違いを発見した。「MI」であるべきところを「ML」となっていたのだ。これはまずい。海外渡航時、航空会社のカウンターでの手続きや出入国審査にあたって、パスポートの氏名と航空券に記載された氏名は完全に一致していなければならない。綴りの間違いは許されない。たった1文字違っていただけでも別人のものとされ通過できない。接種証明も同様の扱いになる可能性が高い。今回たまたま気が付いたからよかったものの、そのまま海外に出かける際に使っていたら、えらい目に遭うところだった。日本で止められるならまだいいが、日本の出国はスルーして渡航先の入国時に止められようものなら目も当てられない。
ローマ字表記の氏名を修正しなければならないが、さてどうしたものか。接種証明の内容についての問い合わせは、ワクチンの接種券を発行した自治体にすることになっている。早速電話で問い合わせると「氏名の修正についてはここでは対応できない。マイナンバー担当に問い合わせてほしい」とのこと。なるほど。マイナンバーカードに登録された氏名が間違っているのか……。なんかややこしいことになりそうだと思いつつ、案内された自治体のマイナンバー担当に再度問い合わせたところ「初めての事例なので調査の上かけなおす」という。しばらくしてかかってきた電話によると「パスポートの読み取り間違いかもしれないのでもう一度取得しなおしてみてほしい」とのことだった。
マイナンバーの担当者によると、マイナンバーにはローマ字表記の氏名は登録されていないらしい。確かに、マイナンバーカードを作る際、ローマ字で氏名を書いた覚えはない。すると、ローマ字はどこから取得しているのか……。それが、取得にあたって撮影したパスポートの写真から文字認識して取り込んでいるというのだ。今回はそこで間違ってしまったらしい。てっきりマイナンバーとパスポートは紐づいていると勘違いしていたが、現状ではまだ紐づけはされなていない。
デジタル庁によると、接種証明書アプリが取得するのは、マイナンバーカードからは「個人番号、氏名、生年月日、性別、住所」のみ。パスポートからは「氏名、生年月日、国籍、旅券番号、旅券の有効期間満了日」を取得するとしている。これらのうち、両方に共通しているのは生年月日のみだ。氏名については、マイナンバーカードは漢字、パスポートはローマ字なので別物だ。生年月日を除く情報はすべてパスポートの写真の画像からアプリに取り込む。つまり、これらの情報は誤認識される恐れがある、ということだ。氏名の綴りが間違っていたのもこのためだった。
結局、一旦発行された証明書を破棄し、取得の操作をしなおすことで、氏名の誤りはすぐに修正できた。接種証明書アプリで海外用の接種証明を取得した際は特に「ローマ字の氏名、国籍、旅券番号、旅券の有効期間満了日」については、何度もチェックし誤りがないことをしっかりと確認することを強くお勧めする。
文・道越一郎/提供元・BCN+R
【関連記事】
・乗り換えたい新料金プラン、1位はNTTドコモの「ahamo」
・【申請編】マイナンバーカードを作ろう! 自撮り向きスマホで顔写真を撮って申請
・マスクの一時置きにピッタリ! 抗菌・おしゃれな「マスクケース」まとめ
・改悪続くクレカの還元 キャッシュレス決済の本命は即時決済?
・デキる人はこう使う! ビデオ会議で差がつく「Zoom」の超便利テクニック