ここ何年か耳にするようになった老後資金2,000万円問題。「老後」が訪れることは誰もが避けられないことであり、それに対する備えの必要性が叫ばれているのは読者のみなさんもご存知のことだろう。

しかし外為どっとコムが実施した「投資・副業に関する調査」によると、「順調に準備できている」とする回答は26.0%と3割に満たないという結果が判明した。「計画はしているが不十分」、「不安があるがどうしたらいいかわからない」との回答が57.6%にのぼるなど、多くの人がこの課題について解を見いだせていない現状が浮き彫りとなった。

現役世代の老後資金の確保の現状は?自分で準備するとなると、どのような手段が考えられるか

金融庁が2021年に発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」の「世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況」によれば、2020年における70歳以上の貯蓄額は平均で2,259万円(負債86万円)となっている。

一方で現役世代は、40歳未満で貯蓄708万円、40~49歳では1,081万円と、人生の折り返し地点を過ぎていながらも貯蓄額は半分にも満たない。さらにローンなどの負債は貯蓄を上回っている状態だ。ここに退職金を加えたとしても、近年は退職金が減少傾向にあるとも言われており、なかなかに先の見通しは明るくない。おまけに将来もらえる国民年金額も減っていく可能性の方が高いなども考慮すると、ある程度の老後資金を自分で準備する必要性が浮かび上がってくる。

「老後2,000万円問題」順調に備えている人は約3割、家計の資産構成は現金預金が6割という調査結果が。これで解決できる?
(画像=家計の金融資産構成比率は、現金・預金は60.0%、株式等は12.2%、投資信託は8.4%で、未だに日本では現金資産が多いことがわかる(「株式会社外為どっとコム」調べ)、『オトナライフ』より引用)

そんな中で、外為どっとコムの調査では、銀行預金以外の投資に興味がある人々が、老後資金の確保のため実際にどのような金融商品を購入しているかも明らかとなっている。上の表を見ると、一番馴染みがあると思われる「日本株式」の保有率が高く、その次に「投資信託・ETF」、「外貨預金」となっている。

「老後2,000万円問題」順調に備えている人は約3割、家計の資産構成は現金預金が6割という調査結果が。これで解決できる?
(画像=保有している金融商品で一番多いのは、日本株式の48.4%となっている(「株式会社外為どっとコム」調べ)、『オトナライフ』より引用)

また、NISA制度の活用についての問いには「知っているが利用していない」が41.4%と最多に。国が国民の資産形成を後押しするために用意した非課税制度も、利用していない人が多いようではその強みを発揮できているとは言い難いだろう。

「老後2,000万円問題」順調に備えている人は約3割、家計の資産構成は現金預金が6割という調査結果が。これで解決できる?
(画像=「株式会社外為どっとコム」調べ、『オトナライフ』より引用)

将来の収入、約3割が「非常に不安」と回答 コロナ禍で投資への意識・行動変化があったのは約2割!

「老後2,000万円問題」順調に備えている人は約3割、家計の資産構成は現金預金が6割という調査結果が。これで解決できる?
(画像=コロナ禍をきっかけに「投資の頻度・金額が増えた」「投資を始めた」と答えた人が22%にのぼった(「株式会社外為どっとコム」調べ)、『オトナライフ』より引用)

この調査では、コロナ禍がきっかけで投資意識が高まったとする上の表のような結果も出ている。

また、副業・副収入への興味も高まっている。副業、投資に興味を持ったきっかけは、「老後の資金を貯めたい」が54.9%でトップにのぼっているのだ。「自分の将来の収入に不安はあるか」との問いでも、28.0%が「非常に不安」と回答。特に、10~30代で「非常に不安」、「どちらかと言えば不安」と感じているのは約7割と、不安を抱えているのが多数派だとわかった。

「老後2,000万円問題」順調に備えている人は約3割、家計の資産構成は現金預金が6割という調査結果が。これで解決できる?
(画像=「株式会社外為どっとコム」調べ、『オトナライフ』より引用)

コロナ禍で収入が減った人もいるだろう。生活スタイルが変化し、時間に余裕ができたことで副業に時間を割けるようになったのもこの変化の一因とみるのは容易だ。勤続年数に比例して昇給・昇進し、数々のストレスに耐えた見返りのようにまとまった退職金をもらえるというのはひと昔前の話。

昨今の生命保険商品は、病気をした時の安心を買う医療保険よりも、将来の備えのための個人年金保険や、長生きのリスクヘッジのための保険のほうが高い関心を持たれているとの話も聞く。コロナにおいて世界中のライフスタイルが変わったことを目の当たりにした私たちは、今後のライフプラン、特に金融面を見直す局面にたっているのではないか。

文・オトナライフ編集部/提供元・オトナライフ

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