新型コロナウイルスのオミクロン株対策として各国が講じている渡航制限措置の見直しを求める声が高まっている。世界保健機関(WHO)の緊急委員会は1月19日、感染拡大抑制に渡航制限は無効だとして加盟国に撤廃・緩和を勧告した。世界観光機関(UNWTO)はこれに歓迎の意を示し、「制限は特に海外からの観光客に依存している国・地域にむしろ害を及ぼす」などと声明を発表。IATA(国際航空運送協会)もコロナは風土病の段階に入ったとして、渡航禁止令の緩和を加速するよう各国政府に要請した。
オミクロン株が確認されて以降、各国は渡航制限を行っている。しかし、WHOの緊急委員会は、制限は感染拡大を抑えられておらず「失敗だった」と断じ、効果がないと指摘した。また、新たな変異株が出現した場合、当該国が渡航制限を懸念して報告が遅れる可能性があり、ワクチン接種や検査などで感染を抑えるべきとした。
IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は、「いまやオミクロンは世界のすべての地域に存在し、ごく一部の例外を除いて旅行はリスクを増加させない」と主張。英国の空港会社が第三者に委託した調査結果からも、渡航禁止令の効果は非常に限定的と指摘した。すでに英国では1月7日から、ワクチン2回接種者と18歳未満の入国前検査を不要としている。
一方、日本は外国人の新規入国を原則停止しており、2月末まで維持する方針。UNWTO専門家パネルの調査では、国際観光が19年水準に回復する時期を24年以降と回答した割合はアジア太平洋が全地域中最多の79%に上った。国境を閉鎖している国が多いためで、経済回復の格差が懸念され、日本の今後の方針が注目される。
提供元・トラベルジャーナル
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