目の奥を「のぞく」だけで、残りの寿命がわかるAIが誕生しました。

中国・広東医科学アカデミー、豪・モナッシュ大学の研究によれば、AIに網膜の状態と年齢の関係を学習させることで、網膜を分析するだけで実年齢を当てられるようになった、とのこと。

AIのニューラルネットによる判定精度は極めて高く、予測の誤差は3.55年以内となっています。

また、実年齢よりもAIの予測した年齢が高い場合、早期死亡のリスクが高くなることが判明しました。

目を見るだけで人の寿命を予測できる能力は、ファンタジー世界の死神などが持つ力として知られますが、人類は自ら作り出したAIに類似の能力を与えることに成功したようです。

研究の詳細は、2022年1月18日付で科学雑誌『British Jounal of Ophthalmology』に掲載されました。

目次

目の奥の「何か」を見て、寿命を予測
網膜の年齢が実年齢より1歳高くなるごとに、死亡リスクが2%増
AIがどのような根拠で年齢を予測しているかは不明

目の奥の「何か」を見て、寿命を予測

目の中の「何か」を見て人間の寿命を予測するAIが開発!
(画像=目をの中の「何か」を見て人間の寿命を予測するAIが開発! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部、『ナゾロジー』より引用)

同じ年齢の人間でも若々しい人や老けた人がいるように、生物学的な年齢は大きく異なります。

そして、人間の健康や寿命を決めているのは実年齢ではなく、これら生物学的な年齢であることが、近年の研究によって徐々に明らかになってきました。

しかし、既存の血液成分から年齢を算定する方法は、血を抜き取って成分別に分析する必要があるため、迅速さに欠けます。

そこで今回、広東医科学アカデミーとモナッシュ大学の研究者たちは、個々人の生物学的年齢を測定する手段として、網膜画像に着目しました。

研究チームは、英国のバイオバンクから4万7000人分の網膜画像と個人情報の一部を取得し、そのうち1万1000人分の健康な人の網膜データを持ち主の年齢とあわせてAIに機械学習させました。

結果、AIは網膜の画像データのみを情報源として、本人の実年齢を3.55年の誤差で予測できるようになりました。

次にチームは、平均11年間のモニタリング期間を設定して、残りの3万6000人分の網膜の画像データを分析しました。