韓国の研究グループが中小企業とスタートアップで人工知能(AI)半導体の開発に投入する時間と費用を短縮する核心技術を公開した。これまでネックになっていたハードウエアとソフトウエア間の互換性と拡張性の問題を解消するシステムソフトウエアの開発で、AI半導体の開発に弾みがつく見通しだ。韓国メディア「ZDNetKorea」が報じた。(写真:ETRI)
韓国電子通信研究院(ETRI、院長キム・ミョンジュン)はAI核心システムソフトウェアのディープラーニングコンパイラ「ネスト(NEST-C)」を開発したと26日、明らかにした。開発者が簡単に活用できるように独自開発したAI半導体ハードウェアと共に「ギットハブ(Github)」に公開した。
AI技術の発展に伴い、ディープラーニング応用サービスが様々な分野に拡張されている。これを実現するAIアルゴリズムも複雑化し、より優れた効率的な演算処理の必要性が高まっている。ETRIはAI応用プログラムに適した共通中間表現を定義し、ネストコンパイラに採用して問題を解決した。
AI応用プログラムとAI半導体間の異質性を解消することで、AI半導体の開発が容易になるというのがETRIの説明だ。今回の技術は、韓国情報通信技術協会(TTA)の標準にも制定された。現在、中央処理装置(CPU)やグラフィック処理装置(GPU)の代わりに、AI演算処理に特化した神経網処理装置(NPU)AI半導体が注目されているが、自律走行とモノのインターネット(IoT)、センサーなどの応用プログラムを実行するためには、最適化したAI半導体をそれぞれ設計しなければならない。同時に最適化したそれぞれのコンパイラが正確な実行コードを作ってこそ最大性能を出すことができる。ディープラーニングモデルの推論性能を保障する核心システムソフトウェア「ディープラーニングコンパイラ」が重要な理由だ。ハードウェアと応用ソフトウェア間の架け橋の役割をするわけだ。
一般的に製造会社はAI半導体、システムソフトウェア、応用プログラムを一緒に開発して販売する。これまで中小企業とスタートアップは半導体設計に力量を集中することが難しかった。システムソフトウェア、応用プログラムの開発および最適化に少なからぬ時間を投入するためだ。また、大手メーカーが提供するシステムソフトウェアは自社チップに最適化されており、非公開で開発されて採用に限界があった。特に、コンパイラはチップの種類やAI応用プログラムによっては開発が異なるという煩わしさも存在した。相互互換性と新しい領域への拡張性に限界が存在している状況である。
今回の開発を通じて、応用プログラムの開発と最適化時間を短縮し、システムソフトウェア開発の手間を省くことができたとETRIは説明した。今回の成果は、半導体生産と販売コストの削減効果ともつながる。CPU、GPUだけでなくNPUプロセッサまで全て互換できるからである。特に、支援すべきAI応用プログラムとチップの種類が増えると、この差はさらに目立つ。以前は「ディープラーニングプラットフォーム種類のチップの種類」だけにコンパイラを開発しなければならなかったが、今では汎用性の高い「ネストコンパイラ」一つが代わりになる。
ETRIは「ネストコンパイラ」をオープンソースとして公開し、関連産業の生態系活性化を目的に独自開発したAI半導体にネストコンパイラを採用した参照モデルまで公開した。特にAI半導体開発用ソフトウェアとハードウェアの両方を公開したのは今回が初めてだ。研究グループは現在、破片化して開発されるAI半導体生態系で「ネストコンパイラ」が求心的な役割を果たすという点で、今回の公開の意味が大きいと明らかにした。
ETRIは国内AI半導体スタートアップが独自開発した高性能AI半導体にも「ネストコンパイラ」を採用した。関連企業とコラボしてディープラーニングコンパイラの支援範囲を広げる計画であり、SW専門企業を通じてAI半導体採用サービスの事業化も推進している。またAI応用サービスの開発に必要な性能と利便性を向上させ、新しいサービスの創出にも貢献する計画である。
ETRIのキム・テホ次世代システムSW研究室長は「標準ディープラーニングコンパイラオープンソースの公開は国内AI半導体生態系活性化のためのもの」とし「多様なAI半導体企業に採用するため技術協力を進行中」と明らかにした。今回の技術は科学技術情報通信部「人工知能システムのためのニューロモピックコンピューティングSWプラットフォーム技術開発」事業の支援を受けて実現した。
提供元・コリア・エレクトロニクス
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