UCLAの准教授で医師の津川友介さんから、最新刊「ヘルス・ルールズ」を送っていただき、早速読ませてもらいました。装丁は軽快な感じですが、内容は極めて骨太です。
津川さんの本に一貫しているのは、エビデンスベースで物事を分析する姿勢です。科学的根拠のある論文や信頼できるデータから結論を導き出すアプローチは、信頼できる正確な内容です。
この本を読んでわかることは、これだけ科学技術が進歩した現代であっても、何が健康に良いかよくわかっていないことがたくさんあるということです。
確かに、明らかに健康に良いもの、明らかに健康に悪いものもあります。
例えば、タバコ、加工肉、赤身肉(牛肉、豚肉)、バターなどは、明らかに有害とデータで結論付けることができます。逆に魚、オリーブオイル、野菜と果物、ナッツなどは、健康に良いとされています。
しかし、大半のものは良いか悪いか、まだわからないというのが現実です。
また、健康に関して迷信や思い込みで誤った判断をしている人が多いという問題もあります。
例えば、
睡眠は90分単位が良いというのは都市伝説
サプリの効果はほとんど無く、ただの気休め
* 糖質制限は死亡リスクを高める
といった目からウロコの研究成果が、本書でも指摘されています。
そして、豊かなライフスタイルを考える際に忘れてはいけないのは、健康は人生の「目的」ではなく、あくまで「手段」だという事です。
健康に限らず、全てのことにはトレードオフが存在します。健康のことばかり優先してしまい、自分が人生でやりたいことを諦めてしまう。これでは本末転倒です。
病気のリスクを、科学的なデータから出来る限り正確に理解した上で、自分が取っても良いと考えるリスクを取りながら、クオリティ・オブ・ライフを高めるライフスタイルを決めていく。これが、人生を豊かにする最も合理的なアプローチです。
そのために必要な、最新の科学的なデータを知るために、本書は最適な教科書と言えるでしょう。
文・内藤 忍/提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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